今からおよそ5億年前、生物の多様性が急激に獲得された時代がありました。(カンブリア爆発)
古生代幕開けとも言われるこの頃(カンブリア紀)にはアノマロカリスやオパビニアなど、見た目にも特徴的な生物が海中で生活していたことが分かっています。
今回はそんな古生物に新たな仲間の姿が明らかなったことについての記事です。
“Royal Society Open Science”に2022年12月7日付けで掲載された論文をまとめていきます。
トゥゾイア
トゥゾイア(Tuzoia)はそんなカンブリア紀に存在した節足動物のひとつです。
全長は最小9.8㎜~最大180㎜と小型です。
1912年にバージェス頁岩から発見され、中国、オーストラリア、チェコなど世界的に分布していたとされていたことが分かっています。
トゥゾイアは、甲羅を含む軟組織が完全な状態で見つかっておらず、どのような見た目をしているのか分かっていませんでした。
トロント大学の研究チームは、100年近くも謎だったこの生物にメスを入れました。
ロイヤルオンタリオ博物館の無脊椎動物古生物学セクション(ROMIP)に保管されている400の標本を調査。
トゥゾイアの軟組織が保存されている標本11点を発見しました。
それらによって各組織の復元イメージがより明確なものになり、甲羅を背負うシャコのようなシルエットが浮かび上がってきました。
それらを基に復元されたイメージがコチラ!
甲羅から顔を出す姿がキュートな生物ですね。
研究者はこの姿をまるでタコスのようだと言っています。
組織の調査によって、頭に近い肢には頑丈な棘がついており、捕食や掃除に役立っていたと考えられています。
尾はロブスターのようなフィン状の形をしており、水中を瞬間的に早く動くことができたとされています。
背中を守る甲羅の形や肢の形状から、海底に積もる腐肉などを漁る掃除屋でもあったようです。
ちなみに頭部と尻尾も含めると全長は230㎜と、これまでのサイズより少し大きくなりました。
これでカンブリア紀の生物に新たな仲間が加わりましたね。
今後もどんな不思議生物が現れるの楽しみです。
参考)The problematic Cambrian arthropod Tuzoia and the origin of mandibulates revisited(2022年12月7日)