生物(ヒトも含め)細胞内にあるポリアミン内のスペルミジンがオートファジー誘導因子を活性化する可能性を発見しました。
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簡単に言うと、アミノ酸の一種であるポリアミンに含まれるスペルミジンという物質が、老化防止に関係している研究の結果が報告されたということです。
まず最初に結論からお伝えします。
・スペルミジンが寿命及び健康寿命を延長させる働きがある
・スペルミジンは年齢とともに減少▶老化の原因のひとつ
・スペルミジンは食べ物で補給可能
→納豆、チーズ、ヨーグルト、醤油、味噌、ミドリムシ、きのこ類…
→ピーマン、カリフラワー、ブロッコリー、ドリアン…などなど
・アルギニンも摂取すると相乗効果アリ
以下各研究のまとめになります。
細胞内で作られるポリアミンという物質の中の構成要素。
ポリアミンとは
アンミン(NH)
が
ポリ(複数)
ある化合物のことです。
ポリアミンの中には、プトレッシンとスペルミジンとスペルミンが存在します。
スペルジミンはポリアミンの中でも特に研究が進んでいる物質です。
細胞分裂を助け、細胞を正常な状態に保つ働きがあります。
ポリアミンの抗炎症作用と相まって、身体の免疫機能に大きく貢献しています。
・スペルミジン摂取の不足
・体内細菌環境の変化
・細胞内の合成不良
などによって健康状態が悪化、食物の摂取などによってスペルミジンを補給し、良い健康状態を維持しています。
過去の研究では、腸内細菌の活性がスペルミジンの生成に影響。
スペルミジンの効果を確認するために、ポリアミンを経口投与にてマウスに摂取したところ、炎症を抑える効果や寿命の延長効果などのアンチエイジング効果があることが分かりました。
(同種の研究画像↓)
ポリアミン(スペルミジン)を多く含む餌を食べたマウスは、肌の艶や毛並みなども良好に見えますね。
更に研究によると、アルギニンと一緒に摂取することで、抗炎症作用などが向上した報告もされています。
・納豆やきのこ、熟成されたチーズなど、菌が関係する食品(発酵食品)
・ブロッコリーや生のピーマン、ドリアンなどの特定の野菜や果物
が代表されるスペルミジンの含まれている量が多い食べ物。
中でも特に含有量が多いの食品が「納豆」です。
普通の納豆では1グラム中に56.1マイクログラム
発酵面積の多いひきわり納豆では1グラム中に75.2マイクログラム
のスペルミジンが含まれているようです。
(東京都健康安全センター調べ)
45歳~84歳を対象に829名について15年間の分析を行いました。
調査中の死亡者数は341人。
5年ごとに食べ物に関するアンケートを行い、食べ物からおおよそのスペルミジンの摂取量を計算。
その結果、スペルミジンを多く摂取する事が、ガンや血管病の発症率低下に関連することが分かりました。
マウスでの実験において、スペルミジンの生涯投与による健康障害は今の所ない模様。
現在臨床試験中ではありますが、高齢者への高スペルミジン植物の摂取は高い安全性を示しているようです。
参考文献)
Spermidine: a physiological autophagy inducer acting as an anti-aging vitamin in humans? (英文) 2019年
ストレス下におけるポリアミンの生理的役割 2018年
抗炎症物質とアンチエイジング 2016年
月間オートファジー(英文) 隔月
他
現代疫学においては、スペルミジンの検査項目がありません。
今後研究が進み、測定のレベルが上がることで、さらなる発見が期待できる分野でもあります。