へひ今回はちょっと面白い生態のヘビについての話!
ヒマラヤ山脈北部のチベット高原には100種類以上のヘビが生息しています。
その中に、標高4,500mに位置する極寒の地で、何百万年の間繁殖する唯一のヘビがいると言います。
彼の名は“サーモフィス・ベイレイ”、別名オンセンヘビとも呼ばれるヘビです。
ScienceAAASに2022年10月11日付けで掲載された研究Secrets of Tibet’s hot-spring snakes revealedでは、このヘビが極限環境にどのように適してきたのかを調査した研究結果が掲載されています。
彼らの生息地は1年の平均気温が-3.3度、季節の3分の1は冬であり、最低気温は-20度にも達するとされています。
太陽に近いため日差しも強く、人間が素肌を晒すとすぐに火傷をしてしまうほどです。
酸素も少ないため、少し運動しただけでも息切れを起こすような場所です。
過酷な地でサーモフィス・ベイレイ(以下オンセンヘビ)は、地熱によって暖められた温泉を活用することで生きています。
オンセンヘビと遭遇すること自体稀で、太陽の出ている午前11時~午後3時までしかほとんど活動しないと言われています。
彼らの餌は、温泉周りに生息するカエルや魚などということが現段階で分かっています。
なぜ爬虫類が生息するのに適していない、日差しや温度変化の激しい場所で生息するのか……。
現代のゲノム解析で分かったことは、心臓を強く鼓動させ、呼吸を強化し、赤血球の働きを効率的に動かす遺伝子の突然変異であることです。
同じ地帯に生息する、シジュウカラやヤクなども同様の遺伝子変異が起きています。
また、紫外線によって損傷されるDNAの修復能力も高く、高原で生活するのに適した遺伝子構造を獲得したとされています。
沸騰と凍死の境目で生きる彼らは、火傷の脅威がきっかけで“熱ショックタンパク質(HSP)”が活性化し、加速的な進化を遂げたと研究グループは推測しています。
過酷な環境が彼らの進化を促したということですね。
これらの研究によって、現在の環境変化に対応できない爬虫類たちの生存の道が開かれる可能性があるとされています。
過去の生物の進化を見てみると、進化は大量絶滅の後だったり、大規模な環境の変化の後に起こることが多いです。
環境の変化に対応するべく鱗を作ったり、体を小さくしたり、羽を得たりと、進化した生物は新たな環境で優位性を獲得します。
人間においてもそれは変わらないと思います。
今の環境が良くないなら、自分から変わって進化していく。
物理的な体の進化は不可能ですが、思考力をもって他の生物にはできない考え方や環境の変化に適応することは可能です。
今の状況を脱したいなら、そんな形での進化も考えてみるといいかもしれませんね。
以上!
オンセンヘビからの学びでした。