シャンパンと言えば、誕生日やクリスマスなど、お祝いの席で飲んだりする発泡性のワインですね。
フランスのシャンパーニュ地方発祥のワインの一つで、17世紀後半にはこのシャンパーニュ製のワインが大流行し、今の形になったと言われています。
そんなシャンパンですが、炭酸による気泡の振る舞いが、他の炭酸系の飲料とは少し変わった点があります。
今回はそんなシャンパンについての研究のお話です。
参考記事)
・The Strange Mystery of Champagne Bubbles Can Finally Be Explained(2023.5.22)
参考研究)
・Presence of surfactants controls the stability of bubble chains in carbonated drinks(2023.5.3)
ブラウン大学とトゥールーズ大学の流体力学の研究者は、界面活性剤がシャンパンの泡を安定させ、直線的な泡を立てることを発見しました。
ブラウン大学で流体力学を研究するロベルト・ゼニット氏は、「シャンパンに風味や個性を与える界面活性剤としてのタンパク質分子が、生み出す泡を安定させている」と述べています。
実験では特殊な形状の注射器を用いて、ビールや水など様々な液体に対して窒素の気泡を注入しました。
その中でラガービールに界面活性剤を加えると、不安定だった泡が安定するような直線を描くことが分かりました。
また、界面活性剤を使わなくてもビールの泡自体を大きくすることで泡が直線的な軌道を描くことが分かりましたが、水ではそうはいきませんでした。
水の中の泡も大きくすることができましたが、界面活性剤が使われなかった場合、泡は無秩序な振る舞いをしました。
この泡の大きさと界面活性剤の実験から、泡の連鎖には、泡の大きさと界面活性剤という2つの可能性があることが明らかになりました。
界面活性剤の濃度が低い水中を上昇する泡からは、異なる方向に回転する2本の筋が作られました。
この異なった方向の筋によって泡の軌跡が不安定になり、無秩序な振る舞いを見せていたことが分かりました。
一方、液体に十分な界面活性剤が含まれていると、泡の軌跡が変化し、後から続く泡が前の泡と一緒に吸い込まれるようになります。
シャンパンの発泡の仕方は、一見すると地味な研究にも見えますが、実は産業用途や自然界でとても役に立つ知識だと研究者は言います。
例えば、界面活性剤が泡の立ち方を変えることが分かったことから、あらゆる液体の泡の連鎖を調べ、その情報から界面活性剤の汚染度を評価することができるようになりました。
また、常にメタンや二酸化炭素が噴出し、物質の直接採取が困難な深海の噴出孔付近で泡振る舞いを見ることで、噴出孔付近で起こっている変化の監視に有効であると考えられます。
・シャンパンの秩序立った泡は界面活性剤が関係していた
・また、泡を大きくすることで軌道を安定させることもできる
・界面活性剤による汚染度や、直接観察できない場所の状態を知ることができるようになる
というわけで、シャンパンに関する研究をまとめました!
お祝いの席でプシュッと開けるシャンパンには、こんな科学が隠れていたのですね。
今度、シャンパンの泡を見る際には、この話を思い出してみるとより楽しめるかもしれませんね。