コンビニやスーパーで売っているプラスチック容器入りのお惣菜などには容器のまま電子レンジで温めることができるものも多くあります。
お皿を用意せずそのまま食べることができ、時間がない時などにはとても便利です。
しかし、最近の研究ではプラスチック容器に耐熱性があり温めることが可能だとしても、そこから放出される微粒子は思ったよりも多いことが明らかになってきました。
今回はそんな電子レンジとプラスチック容器についての研究の話です。
参考記事)
・Microwaving 'Safe' Plastics Can Release Billions of Particles, Scientists Warn(2023/08/08)
参考研究)
アメリカ ネブラスカ大学リンカーン校の研究チームは、ポリプロピレンとポリエチレン製のベビーフード容器を用いて、電子レンジに加熱した場合の変化の様子を研究しました。
研究では、液体を入れた容器を1,000ワットの電子レンジで3分間温めた後、容器内の液体を分析し、液体中のマイクロプラスチックやナノプラスチックの量を測定しました。
その結果、3分の加熱では1cm²のプラスチックからおよそ422万個のマイクロプラスチック粒子と21億1000万個のナノプラスチック粒子が放出されることが分かりました。
ネブラスカ大学の環境エンジニアであるカジ・アルバブ・フセイン氏は、「私達が食品を食べる時、そのカロリーや糖分、その他の栄養素について情報を得たている。同様に、食品に含まれるプラスチック粒子について認識することも重要だと考えられる」と述べています。
水や乳製品をポリプロピレンやポリエチレン製品に入れて電子レンジで加熱すると、プラスチックの相対濃度が最も高くなる可能性が高いことが明らかになりました。
食品や飲料を冷蔵したり、室温で保存した場合にも粒子が放出されましたが、その数はかなり少ないものになりました。
現在、明らかになっていないのは、これらの微細なプラスチック粒子が私達にどのような影響を与えるかということです
腸や脳など主要な臓器に害を及ぼす可能性は過去の研究によって示されてはいますが、いまだ発展途上の分野です。
とはいえ、摂取するプラスチックが少なければ少ないほど良いというのは間違いないでしょう。
研究者らによって培養された胚性腎臓細胞に対し数日間(72時間)、容器から放出されたプラスチック粒子を晒したところ、高レベルのプラスチックに晒された肝臓細胞の77%が死滅したことが分かりました。
この実験のように、私たちの腎臓が実際にこのような濃度に直接さらされることは考えにくいですが、マイクロプラスチックやナノプラスチックが長期的に体内に残留することによる毒性は無視できるものではありません。
これらのプラスチック粒子が体内に入ってから、どの程度ダメージを与えるかを明らかにするにはさらなる調査がテストが必要です。
フセイン氏は、「より放出する粒子が少ないポリマーを見つける必要がある。こういった製品にマイクロプラスチック・フリーやナノプラスチック・フリーと表示される日が来ることを期待している」と述べています。
人類はこういったプラスチックの容器を使って物を食べたりするのは本当にここ最近になってからです。
数十年単位ではどのような影響があるのかは分かっていないということが現状です。
何百年とこういった製品を食べ続け、体内でプラスチックを分解できるような酵素を人間が獲得できたならば話は別ですが、一世代二世代ではそんな遺伝的変化は考えにくいです。
とは言っても便利なのでそういった容器などは使い続けることになるでしょうが、電子レンジなど加熱することによって、有害となる物質が体内に入るリスクも考えた方がいいかもしれませんね。
温めたいならお椀やお皿に移してからってことですね。