今回のテーマは、一日一食が人体に及ぼす影響についてです。
オートファジーの発現やサーチュイン遺伝子を活性化させるとき、真っ先に考えられるのが空腹の状態を維持することです。
健康、美容、アンチエイジングに効果的であるとされる一方、行き過ぎた粗食は体に悪影響を及ぼすかもしれません。
2023年4月14日にSCIENCEalertに掲載された記事からまとめていきます。
参考記事)
・Extreme Fasting: What Is 'One Meal a Day' Actually Doing to Your Body?(2023.4.14)
・‘One meal a day’ diet popular with celebrities could do more harm than good – here’s why(2023.4.12)
参考研究)
粗食の健康性が知られるようになってきてから、一日一食(one meal a day)にコントロールされた食事が注目されています。
一日一食の支持者は、食事に従うと健康の多くが改善されると主張していますが、実際に、一日一食だけ食べることが体にどのような影響を与えるかについては、ほとんど分かっていません。
その多くは、他の形式の断食が健康に利益をもたらすなら、一日一食も健康に良いであろうという仮定に基づいています。
研究の1つでは16時間の断食(1日のうち16時間は固形物を口にしない)が、血圧を下げたり、体重をより適切に管理することに役立つことが分かっています。
最近の研究では、ヒトにおける一日一食の効果が調べられています。
この研究では、参加者は毎日同じカロリー数を摂取することを指示されました。
研究の半分の期間は、1日1回の食事でそのカロリーを摂取、もう半分の期間は同じ量のカロリーを1日3回に分けて食べました。
それぞれのパターンは11日間ずつ続けられ、1回の食事は午後5時~午後7時の間にとられ、11人の参加者のみが研究を完了しました。
研究からは、一日一食だけ食べると体重と体脂肪量が大幅に減少することが分かりました。
デメリットとして、脂肪を除く体重と骨密度が大幅に減少しました。
ここから、一日一食のダイエットを長期間続けると筋肉機能が低下し、骨折のリスクが高くなる可能性が示唆されました。
一方、動物における実験では、一日一回の食事を続けたマウスは、複数回食事をしたマウスと比べて、より多くの体重が増加したことが示されています。
人間が一日一食しか食べていない場合、エネルギーたんぱく質、食物繊維及びビタミンやミネラルの全ての栄養条件を満たすことは非常に困難になります。
筋肉量の減少や便秘のリスク、朝の健康状態の悪化などにつながる可能性があり、もし個人でやる場合には高度な食事コントロールが必要となります。
必要に応じた栄養士や高品質の食事、サプリメントを利用できることなどの条件が揃うことで、良い結果をもたらす可能性もありますが、長期的には害を及ぼす可能性が高いと考えられています。
・一日一食の影響はいい意味でも悪い意味でも未知数
・他の粗食のダイエットに比べると、有意な効果は感じられない
・短期的にはメリットがあるかもしれないが、長期的にはデメリットが多く考えられる
食べない贅沢ができるのも豊かだからこそできることですが、やりすぎは害ということですね。
大前提として、人間の体は1回の食事で1日に必要な栄養を全てとるのは不可能な気がします。
まずは健康的な食事と腸を良い状態に保つこと。
この上で、週に1度や月に2度など、たまに断食などのデトックス的な効果はあり得るものをするのがいいかと思います。