あけましておめでとうございます!
ごめんなさいね、正月早々資本論で。笑
最初は2021年末に勉強したものでスタートしたいもので…。
まだ資本論全てがまとまったわけではないですが、もうほとんど終盤です。
正月は忙しいでしょうから、暇があったら見てみてください。
では本題です。
(↑前回記事)
前回の記事では機械と労働者の関係についてまとめていきました。
機械は労働者の苦労を減らすのではなく、労働の内容を奪っている…。
しかし悪いの機械ではなく、労働者が搾取される社会構造であるとマルクスは言っています。
今回の資本論は、今まで何度も出てきた“剰余価値”についてさらに深掘りし、資本家のピンハネについてもまとめていきます。
生産的とは
資本主義社会における生産的とは、生産力が高いことではなく“剰余価値をより多く生み出すこと”だとマルクスは言っています。
剰余価値をより多く生み出す方法は2つあります。
ひとつは労働者の労働する時間(労働日)を限界まで伸ばすこと。
もうひとつは人員配置の工夫や機械の導入などによって生産力を上げることです。
労働者の労働時間を伸ばすことをで得る剰余価値を“絶対的剰余価値”と言い、生産効率を上げる価値を“相対的剰余価値”と言います。
貧しい過ぎず豊か過ぎない社会
マルクスは資本主義は、貧しすぎず豊かすぎない社会において発生すると言っています。
貧しい社会では、生産者とその家族を養うために1日の全てを費やすことで精一杯です。
逆に自然環境に恵まれ、働かなくても十分な食糧が得られるような社会では、あまりに暇な時間を他人のためにも自分のためにも使おうとしないからです。
どちらにしても剰余価値を生み出すほどの生産活動が起きないとされています。
それなりの豊かさがあり、生活するために働かなければいけない環境があることで、資本主義が発生していくとマルクスは言っています。
資本主義社会が成り立つと、更なるプラスαの利益を求めて、より質が高く安い商品を大量生産することができるようになり、他の社会体制までも支配することが可能になると主張しています。
資本家による本当のピンハネ率
今回のメインテーマはここです。
労働者が資本家にどれだけピンハネされているかを、剰余価値率の計算方法を使ってまとめていきます。
マルクスは古典経済学の考え方では、資本家に搾取されている本当の割合を出すことはできないと考えました。
当時のイギリスの農耕労働者は4分の1が自分の取り分に、4分の3が資本家の取り分になることがほとんどでした。
小麦を100kg作ったとすると自分がもらえるのは25kgということですね。
これを使って古典経済学と彼の考えの違いを表してみます。
【古典経済学の場合】
古典経済学での剰余価値率の計算方法は……
剰余労働÷労働日
or
剰余価値÷生産物価値
or
剰余生産物÷総生産物
で表されます。
小麦の量で計算になるので、三つ目の“剰余生産物÷総生産物”の式が使えますね。
・剰余生産物=資本家の取り分の小麦75kg
・総生産物=労働者が生産した全ての小麦100kg
として計算できます。
代入すると75÷100=0.75になり、これは資本家は労働者から75%もらっていると言えます。
【資本論の場合】
対してマルクスが考えた剰余価値率の計算方法は……
剰余価値÷可変資本
or
剰余価値÷労働力の価値
or
剰余労働÷必要労働
です。
これも三つ目の“剰余労働÷必要労働”で計算することができます。
・剰余労働=資本家の取り分の小麦75kg分の労働
・必要労働=労働者が生み出した小麦25kg分の労働
として計算できます。
代入すると75÷25=3になり、資本家は労働者が生み出した価値の300%を受け取っていることになります。
これは労働者が受け取る価値の3倍のピンハネがあると言えます。
以上の計算結果の違いからマルクスは、古典経済学の式では労働者が搾取されている本当の割合を見ることができないと主張しています。
まとめ
・資本主義における生産的=剰余価値をより多く生み出すこと
・剰余価値を多く生み出すには、時間の延長か効率化が考えられる
・貧し過ぎず豊か過ぎない社会で発展した資本主義社会は、他の社会を支配することが可能
・資本家によるピンハネは従来考えられているものより大きい
以上、剰余価値と資本家によるピンハネについてのまとめでした。
ここまでで、資本論第一部の全7篇中の第5篇まで紹介してきました。
まずはマルクスがまとめた第一部まではまとめ終えたいと考えています。
残り2篇で完了ですので暫しお付き合いください。