「1億円あったら、バイトなんて辞めて好きなだけ漫画を描いていられるのに」
ボクが20代前半の頃、何度も頭に思い描いた思想です。
当時のボクは、アルバイトをしながら出版社に漫画を持ち込む日々を送っていました。
もしいま目の前に1億円があったら、働かずに好きなだけ漫画を描いて、出版社の漫画賞に応募して、連載して、有名になって…
そんなふうに考えていました。
時間とお金があったら、好きなことを好きなだけできる
そして暮らせたら幸せ。
当時のボクは「時間」と「お金」があれば幸せになれると考えていたのです。
しかし、時間とお金があれば、本当に幸せなのでしょうか。
20代後半を迎えてからのボクは、幸せは外的要因からは手に入らないものだと考えるようになりました。
外的要因とはつまり、外から与えられたもの。
例えば
時間、お金、いい会社、いい土地
これらは全て外的要因、外から与えられて得るものです。
時間があったら、お金があったら、いい会社で働けたら、いい土地で暮らせたら。
理想の環境で暮らせたら、幸せだと誰しもが思うことでしょう。
しかし、いくら理想の環境が手に入ったとしても、自分が「幸せだ」と思えなければ幸せにはなれません。
本当の意味で幸せを手に入れるためには、
内的要因に基づいた考え方で行動する必要があります。
つまり、内側から変わる必要があるのです。
✴︎
漫画家を目指し出版社に通っていた当時のボクは、控えめに言っても大の怠け者でした。
アルバイトで生活費を稼ぎつつ、残りの時間のほとんどを、自分の漫画制作に使っていたのですが、漫画の作画スピードはかなり遅い方でした。
どれくらい遅かったかというのを、実力のある漫画家志望さんと比べると、
連載作家としてやっていくためには、40〜50ページの読み切り漫画を2〜3ヶ月で仕上げることが推奨されていました。
「連載を勝ち取るような漫画家志望さんは、2〜3ヶ月に1本しっかり漫画を仕上げて持ってくる」
と、当時の担当編集さんに言われたのを今でも覚えています。
一方当時のボクはというと、50ページの読み切り漫画をなんと1年もかけて仕上げていたのです。
3ヶ月に1本仕上げる人の4倍、2ヶ月に1本仕上げる人の6倍遅いのです。
もちろん、読み切り漫画を2〜3ヶ月で仕上げるような人たちも、ボクと同じく皆働きながら漫画を描いています。
条件はさほど変わりません。
誰がどうみても、当時のボクが連載作家としてやっていくのは到底不可能です。
しかし、当時のボクはこう考えていました。
「アルバイトをしている時間を全て漫画作業に使えたら、もっと早く原稿を仕上げられるのに」
今考えると恐ろしいことですが、ボクは自分の実力を見て見ぬふり。
思うように漫画制作を進められないことを、アルバイトのせいにしていたのです。
これが、冒頭に記した「1億円あったら、バイトなんて辞めて好きなだけ漫画を描いていられるのに」という発想に繋がります。
しかし、どうでしょう。
読み切り漫画の制作に1年もかかる大の怠け者が、仮に1億円を手にしたとして、果たして連載して有名作家になれるでしょうか。
「ちょっとくらいなら」と、目の前の1億円を遊びや買い物に使い、次第に金遣いが荒くなり、結局漫画も描かず1億円を使い果たす。
というオチが容易に想像できます。
その時のボクは、その状況を「幸せ」だと思えるでしょうか。
気付いたらお金を使い果たし、気付いたら歳だけ食って、自分には何も残っっていない。
そんな状況を今度もきっと、何かのせいにするでしょう。
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実際に、時間を思い通りに使えた時期がありました。
ボクは漫画制作のために有給休暇を1ヶ月とったのです。
かねてより思い描いていた、時間をフルに使って漫画を描くという期間。
ボクは信じていました。時間さえあれば自分は変われると。
フタを開けてみれば、1ヶ月の有給休暇中、約3分の2をドラクエをやって過ごしました。
ちょっとだけやるつもりがどハマりして、原稿がほとんど手につきませんでした。
そこで思い知るのです。己の未熟さを。そして、
外側にいくら求めても、内側から変わらなければ本当の幸せは手に入らないことを。
ドラクエ休暇以来、ボクは変わりました。
それまでの外側に幸せを求める考え方を捨て、内側から自分を変えていきました。
そうすることで、実績ゼロの漫画家志望から、徐々に漫画家としての実績を積んでいくことができました。
Twitterで漫画をたくさん更新しました。一つは電子書籍化して、売上が10万円を超えました。一つは、1万を超えるリツイートをいただいて、Yahoo!ニュースに掲載されました。いつからか、漫画のお仕事をいただけるようになりました。
今では、ギリギリではありますが、漫画のお仕事だけで生活ができていますす。
今のボクは幸せです。
時間もお金もあるわけではありませんが、漫画家として幸せな日々を過ごしています。
もちろん辛いことも多々ありますが、辛いときを込みで考えても、漫画家志望の、全てを外側に求めていたあの頃よりも遥かに幸せです。
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本当の意味で幸せを掴むには、外側に求めるのではなく内側から変わる必要があります。
これまでの考え方をアップデートし、新たな価値観を身につける
外的要因に縛られた考え方ではなく、内的要因に基づいた考え方で行動する必要があります。
ボクが、Twitterに投稿を続けてきた漫画シリーズ、「かいちの幸せの見つけ方」では、そのことを重点的にお伝えしてきました。
ボクが実際に体験したできごとから学んだ「どのように考え、行動すればいいのか」を4ページ漫画にして、ひたすらお伝えしてきました。
こちらの記事に今までの漫画をまとめてあるので、興味のある方はお読みください。
自分が変われば、見える世界が変わります。
そして少しずつ、人生が前に進みます。
外側に求める考え方は捨てて、内側から自分を見つめ直しましょう。
本当の幸せを手に入れるために。