先日お伝えした通り、ニューヨークは国連総会中(前回記事)。
昨日(9/27)、国連機関であるUNOPSとオランダ政府によるブロックチェーンシンポジウムが開催されました。
日本でも記事になっています↓
私も出席してきました。
今日は前半の大きなトピックだった、金融サービス×ブロックチェーン、を中心にお伝えします。
このシンポジウムは、UNOPSから出版された書籍「The Legal Aspect of Blockchain」(ブロックチェーンの法的側面)の記念シンポジウム。
まずは、国連ブロックチェーン活用の特別顧問である山本さんからオランダの外務次官Yoka Brandt氏に書籍をプレゼント。
私もいただきました。
読むのが楽しみです。
内容についてはまた書評を書く、かも。
続いて、欧州復興開発銀行のJelena Madir氏が登壇。
スマートコントラクト実装時の法的な課題について概要を説明。
特に、興味深かった点は以下4点。
スマートコントラクトはコードのみのものから、自然言語法主体で一部コードまで様々。方はこれらの言語、コードと自然言語、の自由な選択を許容するのか?
スマートコントラクト上の契約主体に法的能力(契約を履行できる主体としての権限)はあるといえるか、ある場合はどこまで認めるか、契約主体の特定はどのようにする?
(3)実行方法の問題
契約は、変更やら取り消しといったイレギュラーなことが発生するが、取り消しができないスマートコントラクト上でどのように実行する?
(4)分散台帳の耐久性
EUでは(恐らく日本でも)、契約や情報提供時には”耐久性のある媒体”で提供する必要があります。スマートコントラクトはこの要件をみたすか?
あまり考えたことのなかった分野ですが、法的側面から見ると確かにこんな課題がありますよね。気づきの多いプレゼンでした。
そしてパネルディスカッションへ。
登壇者は、国連の山本さんに加え、Unchain、EBRD、XLP capital、RegpPac、といったブロックチェーン関連企業の方々。そして日本からはソラミツの岡田さんが登壇。
日刊工業の記事にも書かれていますが
「こうした会議で、日本人がパネリストとして参加するのは初めてではないか」
とのこと。実際、私もこういう会議で日本の企業が登壇するの初めて見ました。
岡田さんからは、カンボジア中央銀行によるHyperledger Iroha採用の経緯について説明。ブロックチェーン技術を適切に用いることで、初期およびトランザクションコストの低減が可能であることから、支払いシステムに採用されたとのこと。
と、ここでXLP Capital創業者のMatt Stack氏が
「俺はそうは思わないぞ!」
と反論を開始(笑)
Mattいわく、ブロックチェーンはトランザクションが得意だが、金融サービスはトランザクションだけじゃない。例えばスマートコントラクトでクレジットライン(与信枠)をどう顧客に付与するのか?との疑問が出されました。
なるほど。
その後も、山本さんの「ブロックチェーン自体の問題より、実体経済とどうエントリーポイントを作るかが難しい」という意見に、またもやMatt「俺は反対!」と声をあげる(笑)Mattは「書き換え不可なブロックチェーンの特性こそ難しい問題だ、誤った契約内容を書き込まれたらどうする」など仰っておりました。
まあ、どちらもまだまだ問題があるってことですね。
様々な意見が出され、興味深いパネルディスカッションでした。
今日はここまで!
ソラミツの岡田さんは現在ニューヨークをベースに活動されており、何度かお会いさせていただいています。こちらで活躍する日本人を見るのはやはり嬉しいものですね。
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MALIS
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