匿名掲示板で叩かれたことがある。
誰が叩いたかも、何と無く想像がつく。
私はその時、全国区ニュースになるような事件の、張本人が所属する組織の、最小単位に所属していた。
なぜ私が叩かれたのか?
問題の最中、
偶然に組織を訪れた人たちが私の笑顔を見たからだ。
問題解消に向けて、他組織も含め様々な施策を行っていた。有志のもの達が迷惑をかけた方々に汚名返上しようと様々な活動を行っていた。
そういった活動の受付元は、勿論私たちの組織だった。偶然見かけた私の笑顔に、彼らは不快感を抱いたのだろう。
しかし彼らは知らない。
私たちが長時間に及ぶ話し合いの結果、「組織は関係ない、張本人の尻拭いはしない、そんな目的で活動はしない」、と結論づけていたことを。
事件はプライベートで起こったからだ。
私たちは全く異なる目的で活動を行っていた。
小手先の償いなんか、意味はない。
だから問題の背景を理解しよう。
深く学ぶことこそが、今私たちがすべきことだ。
だから、加害者サイドだと首をたれる理由が私にはなかった。
もう一つ、笑顔の理由があった。
とても不幸な出来事で傷ついた方がいた。
彼女は、あなた達といるとホッとするのと言ってくれた。私たちがイキイキしていることが救いだと。
笑顔になる理由はあった。
けれど、時々訪れる外部の方々のために、神妙な顔をし、お通夜な空気を出す気などさらさらなかったんだ。
「某有名掲示板に書き込まれてるよ」
友人に教えられ確認する。
驚き、少し傷つき、同時にそんなものかと思った。
目的が違うこと
笑顔の理由が違うこと
彼らは知らない
知ることはないだろう
そして伝えることもない。
本当のことなんて、誰も知らないんだ。
渦中にいた張本人は自らの力で立ち上がった。それは美談でもなんでもない。彼と彼の周辺で直接サポートしたものの成果だ。
介入する理由はないし、
介入する資格もない。
人は自分が所属しないサークルを作り他者を叩く
性別で
国籍で
産業で
年収で
住居で
性的志向で
企業名で
事業部名で
課の名前で
叩かれる最小単位に自分が含まれる瞬間まで、
その理不尽さに思いを馳せる事などない。
あの時あの場所で共に泣いたもの以外、
本当のことなんて、誰も知らないんだ。
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MALIS