金融庁の規制にやきもきしている全ての人へ。
朗報です。
政府の干渉をうけない浮島の都市で
トークンによる経済圏を作る
このなんとも壮大な計画がフランス領ポリネシアで始まっています。
この壮大な計画を進めているのはサンフランシスコのBlue Frontiers。
元々、Seasteading Institute研究所が2008年から進めていた浮島計画を実行に移すために作られた企業です。
彼らはポリネシア沿岸に300棟の世帯が住める人工の浮島を計画しています。この島ではトークンによる独自の経済圏が作られる予定だそう。
実行に向けて政府とMOU(覚書)をかわしました。
想像もつかない、、、という方は以下の動画の冒頭を見ると浮島のイメージがわくと思います。
完成は2022年を目指しているとのことで、思ったより早いな、という印象。
この計画をなぜポリネシアが受けいれたのかですが、実はポリネシアは地球温暖化による海面上昇の影響をもろに受けている地域です。
海岸沖に人口の島を作ることで、移住を最小限におさえ故郷に住み続けられるようにする、というのはメリットどころか死活問題なんですね。
気になるコストは推定6,000万ドル!
そしてこの資金調達にICOが用いられることに。
Varyonと呼ばれるトークンを発行し、資金調達及び島完成後のトークンエコノミー形成に使われる予定。
プレセールも始まってます↓
詳細はこちらからどうぞ。
と、なんだか面白そうですが、、、リスクもありますよね。
本当に浮島を作ることができるのでしょうか?
そしてVaryonはトークンエコノミーを作ることができるのでしょうか?
こちらのICO分析記事↓では、3つの懸念が挙げられています。
(1)政治家の反対
このポリネシアでの浮島計画はMOU(覚書)締結済みなのですが、一部の地元政治家が計画に反対しているとのこと。ただし、この点に関してはいくつか記事を読みましたが選挙中のパフォーマンスにすぎないとの見方が強く、さほど問題視されていない様子。
選挙中だけ特定プロジェクトをディスる政治家って、どこの国でもいますよね。
↑フランス大使館もこんなツイートしているので、前向きではあります。
(2)過去の建設失敗
実は主体であるThe Seasteading Insituteは長年にわたり人口浮島を計画していたのですが、プロトタイプが失敗におわっているんですね。
実現するだけの力量があるのか?
オランダのエンジニアリングチームがプロジェクトに参画したりなど、対策はとっているので今回は成功することを願います。純粋に見てみたいですしね。
(3)ブロックチェーン技術者の不足
最後に指摘されているのが、メンバー内でのブロックチェーン技術者割合が他の成功したチームと比べて低いとのこと。建設はうまくいってもトークンエコノミーが技術的にまわらないと、トークン価値が下がってしまいますよね。
と、問題を上げましたが、既に計画が具体的に動き出しているので(1)のリスクは回避可能に見えますし、(2)のリスクに打ち勝ち建設できれば多くの注目を浴び、(3)は必然的に解決されていく気がします。
しかし私が気になるのは、ポリネシアでのプロジェクト以降の展開です。
Blue FrontiersのCEOは世界中に非中央集権の都市が浮かぶぞ!とわくわく発言していたりしますが、本当にそんな展開は可能なのでしょうか?
記事、"Varyon to Power the First Decentralized Island With Novel Governance Model"には、
"こういった人口の浮島は、200海里以内にある最も近い国家の法律に縛られる、と国連は主張している。"
と書いてあります(意訳です)。
すなわち、浮かべたって非中央集権になれるわけじゃないぞ法律には従わないといけないぞ、ということ。
この発言が何を根拠にしているかというと、
国連海洋法条約です。
正式名称は"海洋法に関する国際連合条約"という1994年から批准されている国際法で、日本ももちろん批准しています。
この国際法では、海岸線から200海里以内は国家の"領海"と定義しています。
つまり、海だって国家のものなのです。
ちなみに200海里は370km以上あります。広いですねぇ。。いくら浮島にしたかって、この海洋法にはひっかかってしまう。
しかし、実はこの国際法を批准していない大国が。
アメリカです。
様々な政治的要因から、アメリカは海洋法を批准していません。では、アメリカの沿岸部だったらこの浮島は自由に作れるのでしょうか???
無理です、
アメリカ海軍にキレられるわ。
かといって200海里、またはその外に広がる排他的経済水域を超える"公海"で計画を実行するのは、経済的にも技術的にもハードルが高いでしょう。そんなとこ、住みたくないしね。
なので恐らく現実解としては、
・計画に賛同する国家のもとで、
・経済特区のような形態で、
進めるのではないでしょうか?今回のフランス領ポリネシアのように。それを非中央集権と呼ぶのかは疑問が残りますが。。。
と、少し否定的なことを書きましたが、
それでも人工の浮島で新たな経済圏ができる、自律分散型社会に向けた技術的、社会的な検証がなされる、というのは十分に興味深いのではないでしょうか?
デジタルから、リアル世界の非中央集権へ
今は社会実証にすぎなくとも、徐々に国家の在り方を変える契機となっていくプロジェクトなのかもしれませんね。
ということで!
このICO自体はなかなかリスキーだと思います。
でも、大きな構想にチャレンジしてMOUを結び、そしてICOまで持っていくガッツに心惹かれ、紹介させていただきました。
答え合わせは2022年。
楽しみに経過を見守りましょう!
MALIS
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