以前から取り上げてきたベネズエラの仮想通貨、ペトロ。
ペトロの最大の特徴は
・1ペトロ=原油1バレルで国家が価値保証
という"ステーブルコイン”であること
が、先日こんなニュースが流れたのをご存知ですか?
うん?
石油ペグなのに法定通貨比で引上げ?一体どういうことでしょうか?
見ていきましょう!
秘密は、8月に行われたこれ↓
政府は通貨切り下げと同時に通貨の単位を5桁外すデノミに加え、新たな通貨「ボリバル・ソベラノ」の導入と通貨の名称変更を実施することを発表した。新通貨の価値は世界で初めてのソブリン発行の仮想通貨となった「ペトロ」に連動させる。
覚えていますか?
ベネズエラのハイパーインフレ。
年間200,000%!
どうなっているのやら?というレベルのハイパーインフレにより物価は高騰、政府は通貨の95%切り下げ(5桁切り下げ)を実施しました。
そして、「ボリバル・ソベラノ」という新しい通貨を発表。ドルではなくペトロに紐づけることで安定化を試みたのです。
が、これで終わらないのがベネズエラ。
この「ボリバル・ソベラノ」基準で行くと、国内の最低賃金は1800ボリバルだったのですが、国民の不満解消のため4500ボリバルに引き上げ、つまり2.5倍にすることに。
ここでなぜか、
「そうだ!ペトロも2.5倍に!」
おーい原油、原油どこいった!?!?
つまりですね、
×「ボリバル・ソベラノ」が「ペトロ」に連動
〇「ペトロ」が「ボリバル・ソベラノ」に連動
になってしまっている、気がしませんか?
とにかくもう、無茶苦茶です。
停電、断水、修繕されない建物、不足する物資、、、目を覆いたくなるような惨状が続くベネズエラですが、国民はビットコインの利用で資金を守ろうとしていました。
そんな中、キャピタルフライトを恐れた政府がとったのは
(1) パスポート発行時のペトロ利用義務付け
国外逃亡する国民が多いのでその抑止もあります。(ちなみに私の友人のベネズエラ人は昨年夏にすでに逃亡していたはず、、、)
さらに
(2)年金支払いにペトロ利用
も実施しています。これは絶望的。
さらにさらに!学校には
(3)ペトロを褒め称える教育
を徹底しろとお達しが。
給食打ち切っておいて何してるんですか?としか言いようがないですね。
あ、そうそう。
石油で裏打ちされていると言われるペトロの価値ですが、以前の記事でそもそもベネズエラの石油の価値自体が怪しいとお伝えしました。
この続報として詳しい話が入っています↓
簡単に解説します。
まず、"石油価格"って掘る油田によって違うんですよね。
じゃあペトロにリンクさせるのはどの油田?となっていたところ、ベネズエラ政府は「アヤクーチョ油田」にする!と発表。
が、ロイター記者たちが行ってみたところ、
そんなわけでまとめると、ペトロとは
×石油に裏打ちされたステーブルコイン
〇超不安定な法定通貨に連動したコイン
であると言えるでしょう。
以上、ベネズエラのペトロ近況でした。
前に調べた時も凄いことなっていましたが、加速度的に状況が悪化している気がしますね。書いていて辛いです。
本来ベネズエラは、ギアナ高原など美しい自然を持ち観光資源も多い国。決して石油だけの国ではなかったはずです。餓死する国民が発生する現状、一刻も改善されてほしいと思います。
MALIS