
小説が好きです。中高大と、ほとんど小説なんて読まなかった私ですが、ここ5年ほどは、オーディオブックが肌に合い、1.5倍速で沢山の小説を読んでいます。

きっかけになったのはやはり、染井為人さんの「正体」。そこから、湊かなえさん、薬丸岳さん、凪良ゆうさん、町田そのこさん、金原ひとみさん、などなど、色々な作家さんの小説を読んでいます。
考えさせられた⋯という感情が残る作品については、何回も繰り返して読んでしまうのですが、中でも、染井為人さんと金原ひとみさんは私の中で外れないのです😇リピート率が高い。
それでまさに今も、うーん、考えさせられる⋯と、軽く3周はしている作品があります。
それが、実は今劇場公開中の、
ミーツ・ザ・ワールド。
(劇場公開中なの最近知った⋯20日には上映終了⋯無念すぎる😭)
今日はその中の、考えさせられた部分を、何も注釈入れず、そのまんま引用させてもらいます🙏
・・・・・・・
個性を大事にしよう、
自分らしさを大切にしよう、
近年日本社会はそう要求してきた。
ユキの自分らしさ、個性とはまさに、不幸であることなのではないだろうか。
だとしたら、近代社会の求める自分らしさという生まれ持った資質によって、人の、幸不幸は、それなりに定められていると言える。
しかし、同時に医療は発達し、以前は手のかかる子、抜けてる子、落ち着きのない子等と言われてきた資質の子どもたちに、次々と病名が与えられ、その治療薬が開発され続けている。
自分らしさを大切に。
でも社会の秩序を乱す可能性のある人には、投薬治療を受けさせ、社会生活に適応させていきましょうというダブルスタンダードがまかり通っている現代において、ユキに精神科の治療を受けながら、なんとしてでも家庭を守るべきだったとも、あなたの判断は正しかったとも、
私には言えない。
そもそも社会の秩序を乱す人々を邪魔に思っているのは、人間を社会の歯車としてしか認識していない、組織ではないだろうか。
実態のない社会というものに迎合することで、喪失する具体的な個人だってあるはずだ。
考えに考えて、なんて面倒くさい人なんだと嘆きたくなったが、人生を通してそのことを自覚し続けてきたであろう彼女に、そんなことを今更言う気にもなれず、彼女のような人間がこの世に存在しているという現実の残酷さに、打ちひしがれる他なかった。
私は悔しくて腹立たしくて
見たこともないユキの夫と子どもを想像し
洗剤まみれのカーペットの上で死にかけていたユキを想像し
涙が出てくるのを抑えられなかった。
胸が苦しくて
何かを呪いたい気持ちだった。
こんな気持は初めてだった。
こんな気持など知りたくなかった。
どうして、ライもユキも、普通に幸せになりたいと思わないのだろう。
健康で、仕事があって、家族がいれば、それだけで幸せではないか。
婚活してもちっとも男性との関係が発展しない私と違って
あなた達と幸福な生活を営みたいと望む人は沢山居るはずなのに
どうして彼女たちは、自ら幸福の外側へと逃げるように逸脱していくのだろう。
その答えを私が聞いたところで
何ひとつ彼女たちのことを理解できないと分かっているのに
疑問ばかりがぐるぐると頭を巡る。
・・・・・・
おやすみなさい。











