「里親制度」というものをご存じでしょうか。
自分はなんとなく聞いたことがあるなぁ程度でした。
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様々な理由で親と暮らせないこどもたちを、家庭環境の下で養育する制度です。
こどもが成⻑する上で必要な「愛情」と適切な養育「環境」を持って養育を⾏うことにより、⼦どもの健全な育成を図ります。
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というような説明が一般的です。
児童施設に預けられているお子さんを、家庭で受け入れるイメージです。
私の家には妻と子供2人いましたが、この家に里子ちゃんをお迎えしました。
前の記事で記載しましたとおり、私は昨年度に難病を患っていることがわかり、結果的に人生観を一変させることになりました。
やや半強制的にセカンドキャリアなるものを考えることになり、その一つとして「何か良いことをしよう」と思い立ちました。
この「良いこと」の選択として、
- 一般的な倫理観と乖離しない程度の「良いこと」であること。
これは、見る方向によっては「良いこと」に見えない、というようなリスクを減らしたいという保守的かつ打算的な考えです。
- 既存の生活範囲内で許容できるレベルのものであること。
良いことといっても、自分の生活を捨ててまではやらないという意味です。長く続けられそうなもの。
という条件で探していました。
その時に、以前見た里親制度のパンフレットに映った子供の写真を思い出しました。
男の子か女の子かはわからないのですが、とても愛くるしい写真だったことを記憶しています。
ビビビっと頭の中で「良いこと=里親になる」という決定がなされました。
自分の子供が、もう反抗期すらも過ぎて、私のことを人間扱いしない程度に成長してしまったという悲しい現実もあり、もう一度かわいい子供の面倒を見てみたいという欲求もありました。。。
以下のステップで里子ちゃんを迎えました。
「結構時間が掛かるのかな~」と思っていましたが、研修を受けてから半年ぐらいで、里子ちゃんを紹介いただけることになりました。
突然、電話で連絡が来ましたね。
里子ちゃんを受け入れるという話しになってからは、
- 数時間だけ受け入れる
- 泊まってもらう
みたいに少しづつ家に慣れていくような事前準備が約1か月ありました。
この事前準備を完了後に、本当のお迎えとなります。
里子ちゃんと毎日暮らすようになって、色々なことを実体験から勉強することができています。
やっぱり小さい子はとてもかわいいです。
ただ、里子ちゃんを育てるうえで、想像していなかった苦労もかなりあります。
この苦労の数々は今のところ解決の目途はなく、ゴールも不明確で、少しづつ家族にストレスが溜まってくるというようなイメージです。
(どうなると解決したことになるのかという点自体も言語化できていない状態)
ボーっとしていた時に、突然、この状態って失敗プロジェクトの典型的な状態では無いかと感じてきました。
- プロジェクトの理念や目的がメンバ内で共有されていない。
- 何のためにやっているかが見えづらくなってきている。
- ゴール設定もあやふやでスケジュールやタスクが整理できていない。
- 目の前のタスククリアに手一杯。
家族をプロジェクトメンバと考えたときに、
- 目的が共有されていない(というか言っていない)
- メンバ(家族)ごとの課題を共有していない(悩みを聞いていない)
- それぞれのメンバ(家族)に明確なタスク(主に改善項目)をアサインできていない
です。。。場当たり的にみんなが動いていて、少しづつストレスを溜めてきているという感じ、、、
うん。改善しましょ。
まずは目的とゴールを明確にしましょう。
プロジェクトマネジメント的な発想で
「プロジェクト憲章」のような「なんで今回のプロジェクト(里親)を行うのか、みんなにとってどんな意味があるのか」
を改めて議論します。
次にゴールに向けての作業の進め方ですが、現状、我々の現実的な悩みについて具体的にQ&Aしてくれる相手(機関)も情報も探索するのがとても難しいです。
ということは、今回のプロジェクト(里親)については「自分たちで仮説・検証していきながら解決していく」という方法になるかと思います。
とすると、今回のプロジェクト(里親)では、長期的なスケジュールを立てるよりも、ダメだったらすぐに方向転換可能なツールを使用すべきと考えました。
ということでアジャイル的に作業を進めていこうと思います。
- 短期的なスケジュール(スプリント)を決めて、そこまでに何を行うかをプロジェクトメンバ(家族)で決定・共有する
- それぞれの目的の優先度を設定する
- 一段細かなタスクまで細分化する
- 定期的に見直しの有無を確認する
- 振り返りや反省会を実施し、必要があればすぐに方向転換する
改善効果が見えてくれば、それはプロジェクトメンバ(家族)のモチベーションになります。
それが定量化されていれば、よりモチベーションの向上に寄与できるはず。
メンタルやストレス関連は言語化できず定量化もできずで、少しづつ心を蝕む厳しい問題だとは思います。
そこを家族で言語化するところから始めてみようと思います。
里親には守秘義務があります。
里子ちゃんや関係者の情報を漏らすことはNGです。
ご近所に聞かれてもどこまで話して良いのかということを都度悩みながら説明します。
SNSもしかりです。
一方、上述のとおり里親は想像以上にストレス下に置かれる(簡単なものでは無い)ということも理解できました。
この里親自身のケアについては、厚労省や児相などは大きな課題と認識しており、様々な取り組み(里親相談会など)を行っています。
また、「里親は内向きで悩みをためず、外と積極的に結びついて悩みを相談、ストレスをためない様にしましょう」といった趣旨の活動規範も書かれています。
この2つはダブルスタンダードとまでは言いませんが、なかなかの相反する管理課題であるとは思いますし、2つの線引きはとてもセンシティブだと思います。
ただ、具体的な線引きを児相などに聞くことは、あまり意味がない(きれいな線を回答いただけないことは自明)とも思います。
よって、簡単に判断できることは当然として、難しい部分もしっかり考えて記載していきたいとは思います。
なお、里親制度が普及しない理由について、アンケート結果の第一位は
「里親制度をよく知らない。馴染みが無い == 認知されていない」
です。
国は里親制度の普及に全力を上げています。
ここからは、一般論ではございますが、統計的な観点と脳科学の観点では以下のような知見を得ることができます。
- 統計観点: 児童施設にいる児童の65%程度が虐待を経験
- 脳科学観点: 虐待を受けると脳は大きなダメージを受け、社会性の構築が困難になる(発達障害の基準に類似)。特に幼児期であればあるほど、ダメージの大きさは深刻。
私は脳梗塞になり脳の一部(言語野)が死にましたが、リハビリにより社会生活に復帰することができました。
脳は一度死んだ部分が復活することはありません。
ただし、脳の別の場所が死んだ部分が行っていた機能を代替するようになります(これがリハビリです)。
このように、私自身が脳の復活を経験していますので、上記のようなケースにおいても「改善させることができる」という点に全く疑問はありません。