最近コロナの影響も緩和され、地元の接客業が繁盛しつつある。
俺の家の隣には、深夜営業の台湾式マッサージ店がある。
このお店は、俺が住んでいる所のマンションの1室を改造し営業している。
壁が薄く、隣の部屋の声がよく聞こえてくる。
でも変な声は、聞こえてこないから風俗店ではない様だ。
しかも俺の部屋の中には、隣の部屋に行くドアがある。
こちらから鍵を掛けられるが、相手側からはカギがかけられない構造。
きっと昔は、隣の部屋とセットになっていて事務所になっていたのだろう。
俺は、そのセットになっていた部屋の事務所側に住んでいる。
引っ越してきた当初は、お風呂の換気扇も無く、洗濯機置き場も無かった。
でも、大家に言って急造してもらった。
不備は、まだある。
マンション全体のネット回線集約設備がある。
本来外にあるはずの、ガス設備が部屋の中にある。
色々と変な部屋が、とりあえず普通に住めてるから良しとしよう。
最近、隣の部屋のマッサージ店の客がよく階段から落ちる音がする。
それもそのはず、そのに来る客はみんな酔っ払ってくるからだ。
マッサージ店は、女性2人で営業している。
営業の仕方は、最初にお客と待ち合わせして、飲みに行く。
その後、お店に連れて来てマッサージをする。
多分、普通に台湾式マッサージ店の営業では、客が来ないのだろう。
ホステスの同伴みたいな事をしている。
何だか苦労が伺い知れる努力だ。
その客は、みんな酔っ払っていて、みんな階段を踏み外し落ちるのだ。
中には、階段の上から転げ落ちる客もいる。
ここに来る客は、お爺ちゃんが多いから怪我位しているだろう。
なんにせよ、その内死者が出そうで心配だ。
外には「マッサージ桜」と言う看板が出ているが、これも壊れかけている。
きっと酔った客が、倒れて衝突したのだろう。
俺は、お酒を全く飲まない。
でもお酒を飲んで陽気に酔う人達は、大好きだ。
お酒を飲まなくても、周りが陽気ならその場が楽しい。
ただ俺は、お酒を飲むとメチャクチャテンションが下がって頭が痛くなる。
だから俺は、飲み会の席でも、お酒は全く飲まない。
もうこのスタンスを貫く!
俺は、根本的にお酒が体に合わないのだ。
でも我々一族は、全員酒豪。
もしかしたら俺だけ、隅田川の堤防で拾われてきたのかも?!
もしかしたら俺だけ、八百屋で買った桃の中に入っていたのかも?!
もしかしたら俺だけ、月を見たら大猿になってしまう異星人なのかも?!
そんな気がしてきた。
俺は、お酒を飲める人の、あんなに陽気になれる所が凄くうらやましい。
あんなに幸せそうな顔が出来るなんて、凄く良いなぁ~といつも思う。
俺がそんな顔が出来る日は、きっと大金を手にした時かもしれない。
その時はきっと、美女が俺の周りを囲んでいる。
そして物凄く幸せそうなムカつく顔をしているに違いない。
隣のマッサージ店は、深夜になるとドアを全開に開けっ放しにする。
多分、営業中と言う目印だろう。
なぜなら、ドアが閉まっていると、直で来る客が俺の部屋のドアを開ける。
俺は、出かけるとき以外ドアにカギを掛けない。
なんか密閉されたようで嫌だからだ。
たまに、寝ている時にドアを開けられるが、その時は目が覚める。
しかも、必ず外人。
その外人が、マッサージ店と間違えてドアを開けたと隣の店主によく話す。
その為、隣のお店は営業中ドアを全開で開けるようになった。
俺も、鍵を閉めないと危険と母親に言われているが、まだ閉めてない。
全く恐怖もない。
俺の部屋に間違えて入ってくる外人は、みんな善人ばかりだからだ。
しっかり誤って、反省した顔をする。
外国人の方が、日本人より良くも悪くも人間らしい。