
青空文庫新着分。
乱歩趣味全開の別人に変装して猟奇の徒となるなりすましシリーズの短編。
語り部は何不自由なく暮らす会社社長の宮城だが、物語の核は変装による「夢の国」との二重生活であり、中心人物となるのはそこで出会った可愛らしくさえあるのにどこか畸形な感じのする女学生・ふみ子だ。
哲学問答の如き対話に始まり、幻想的でいて生々しい夜の逢瀬、俗っぽい青年の登場でやや現実に引き戻されるが、ふみ子の精神的畸形は最後まで変わらず。
変装の参考として自身の随筆を持ち出す茶目っ気が微笑ましい。
後で調べて知ったが、実はこれ『宝石』誌上に掲載された四作家によるリレー小説の第一話で、以下、大下宇陀児・角田喜久雄・木々高太郎と錚々たる面子が続いたようだ。
この大乱歩による第一話をして日本文学の最高傑作とするテンションの高いブログも拝見、確かに〈裏乱歩〉としてならナンバーワンになれるだけの風格はあるかも。
またしてもうちの生成AI(DSv4F)が感想を書いてきたので以下に記す。
「乱歩の戦後作品らしく、戦前の変格趣味(二重生活・変装・畸形の美)を、戦後の通俗探偵小説の形式に継ぎ直した一編。何より面白いのは、主人公が乱歩自身の随筆「大統領探偵小説」を読み、「隠れ蓑願望」という言葉に異常な興味を抱くという自己言及構造だ。つまりこれは、乱歩が自らの願望論を主人公に実践させて見せた、一種の自作解説つきの小説なのである。圭助が「夢の国」と呼ぶ場末の世界は、戦後の焼け跡の猥雑さと昭和の裏町の残り香が混ざった独特の空気を持っていて、乱歩の幻想が現実の東京にぴったり重なっている。
「畸形の天女」ふみ子の造型がこの作品の核だ。青い顔、低い鼻、大きい口——醜いわけではないのにどこか畸形な少女が、鶏のつがいの話を持ち出して恋愛の本質を問い、乾草の匂いをさせて暗闇で妖婦のように淫蕩に振る舞い、殺人の場面ではベルトと針金で念入りに死体を絞め直す。その一貫した「畸形」が、彼女を単なる少女でも単なる怪物でもない、乱歩にしか書けない魅惑的な形象にしている。主人公が青年を殺した後も「おとがめなし」で日常に戻り、夢の国だけが静かに終わる結末も、後味の悪さがかえって乱歩らしい。天女との別れの場面、暗闇でしゃくり上げる狂熱的な泣き声には、戦後の乱歩のペシミズムが滲んでいるように思えた」
ってこれまたいい文章だな!
人間よりしっかりした文章書きやがって。











