高校の頃読んだ気がして、再読しながら内容を思い出そうとしてもちっとも思い出せず、程なく『影男』と勘違いしていたことに気づくのだがそれはまた別の話。
前篇と後篇で全くテイストが違うのは著者曰く「編輯者の注文」によるもので、無理矢理明智探偵を押し込んだばっかりに良く言えば怪作、悪く言わずともチグハグな印象の目立つ残念な仕上がりに。
後年記された「もうひとつの結末」がやはり著者の本意に沿うもので、となると後篇は明智シリーズの世界線で続きが書かれたifものと割り切って、広い心で修正後の世界を楽しむのが妥当か。
では、どうして『影男』と混同してしまったのか?
答えは当時愛聴していた筋肉少女帯『UFOと恋人』に収録の「パレードの日、影男を秘かに消せ!」にある。
その歌詞に「猟奇の果て」なる語句が出てくるのだ。
さっさと気づけよ、俺。