マリー・コレリ『ヴェンデッタ』を黒岩涙香が翻案した『白髪鬼』を更に翻案し、涙香の遺族の許可を得て同名で発表したもの。
よっぽど好きだったのだろう。
原作も涙香版も未読のため比べるべくもないが、序盤のお墓を脱出する件とラストの瑠璃子の壮絶な姿は乱歩の猟奇タッチが光る。
中盤の復讐を着々と進める辺りにいまいちピンと来なかったのは、そもそも復讐ものに食指が動かない体質だからか。
財力を手に成り上がる巌窟王形式は、なろう界隈を席巻した〈もう遅い〉に通じるものが……いや、ないか。