(前回のあらすじ:
僕は初めてのアポに挑むも緊張で何もできずに終わってしまった)
・成長
そこからは修行の日々だった。
pairsでやり取りしている女の子に片っ端から「会おう」と声をかけ、アポを組んでいった。
なるべく早く仕事を終わらせて、待ち合わせ場所に向かうというのがルーティンだった。
そして僕たち講習生は来る日も来る日も失敗し続けた。
LINEを通じて上がってくる報告には毎回「負け」の二文字があった。
ただ3,4回アポをこなした頃からだろうか。
「最後にホテルに誘うこと」はできるようになってきていた。
しかしそれまでのトークが不十分なため、毎回誘った後「ホテルはいかないよー」と断られてしまう。
自分では何がだめなのかわからなかった。
すると僕の報告を読んだ講師から「下ネタを話してください」と指示がきた。
なんでも僕は話や雰囲気が堅すぎて女性側がそういう感じにならないらしい。
そんなわけで女性と会って話少し打ち解けると、僕は「好きな体位教えてよ」みたいな感じで下ネタをぶっこんでいくようになった。
この作戦が功を奏したのか、ある日チャンスが訪れた。
・ラブホブチギレ事件
7人目か8人目に会った女性だったと思う。
六本木のオシャレめのカフェで待ち合わせ、いつものようにトークをしていた。
この頃には、ある程度対面でのトークにも慣れてきていた。
トークの終了後にもある程度良い雰囲気が作れるようになっていた。
そしてこの日は特に女性の反応がよかった。
話している途中から、僕に対して尊敬している様子や甘えてくる様子が見て取れる。
(あれ?これってもしかするともしかするのでは...)
下ネタについても問題なく話せた。
僕は頃合いをみてトークを切り上げ、カフェを出た。
そして手をつなぎ、ホテルのある方へと歩いていった。
彼女は「どこに行くの?」と聞いてきたが、適当にはぐらかして歩いていった。
そしてついにラブホテルの前についた。
いつもだったら「いかないよ」と言われて断られるところだ。
今回はどうだろうか。。
彼女は「入らないよー」と言った。
けど、なんとなく押せばいける気がした。
彼女の腰に手を当て、一緒にホテルの方に向かうと彼女は付いてきた。
(ついにきた!)
初めてあった女性をノンアルコールで口説きホテルに入る、ここまでこれた。
後は抱くだけだ。
部屋を選び、エレベーターに乗って移動する。
エレベーターの中でキスをし、部屋に入った。
僕は9割くらい勝利を確信していた。
しかし彼女は様子が変だった。
どんどんテンションが下がっていくようだった。
僕がシャワーを浴びて出てくると、もうまったく不機嫌になっていた。
そして間の悪いことに僕はこのとき圧倒的にお金に困っていた。
そんなわけで話の流れで彼女にホテル代を半分請求してしまった。
彼女はブチ切れた。
まったく乗り気じゃない上に、ホテル代まで請求されて不満が頂点に達したのだろう。
彼女は部屋を出ていった。
僕は必死に引き止めたが、まったくの無駄だった。
部屋の中でひとりぼうぜんとしていたのを覚えている。
とても苦い体験だった。
・振返り
振り返ると、たしかにホテルに辿り着くまではよかったのだろう。
しかしその後がいけなかった。
まずラブホテルというものに慣れていないところを見抜かれたのだろう。
それはすなわち女性に慣れていないことの証明だ。
そしてエレベーターでキスをしたこともがっついている、と捉えられたのだろう。幼稚に思われたのかもしれない。
そうやって彼女のテンションはどんどん下がっていったし、実際に経験が無いに等しい僕にはどうすることもできなかった。
しかしこのあまりに苦すぎる経験から、僕はホテルに着いてからの振る舞いの重要性について深く学んだし、こんな失敗は二度としないと心に誓った。
そして戦いは続いていった。