けさ、シャワーを浴びたあと歯磨きをし、うがいをしたときに前歯の仮歯がとれた。
もとから前歯の間があいている、いわゆるすきっ歯であり、年齢を経るうちに歯茎が衰えたのか徐々にその隙間が広がった気がしてきた。そこをきれいにするために歯科クリニックに通い、いまは前歯に仮歯がはまっている状態である。
それがとれることは今回が初めてではないのだが、けさ起きたことはしばらく沈黙の時がおとずれ、そのあと「え…え……えーーーーーーーー! は? なに? どこいっちゃったの? なんなのよーーーーー」と絶叫するぐらいの衝撃派をくらった。
それはそうとして、どこかの国ではすきっ歯は美人だといわれるようだけれど(Webでたまたまみた情報なので定かではない)、日本ではそのようなこと聞いたことがなく、食べ物も挟まるしおそらく美しいとはいえない。それでもすきっ歯はもしかするとチャーミングなのかもしれず、がんばって矯正しなくてもよかったのかもしれないな…とふと思うことがある。
にんげんはおもしろいなぁとおもうのはこういうところで、すきっ歯をなおしたいからクリニックに通っていたのに、それがなくなろうとすると名残惜しくかんじ、愛おしくおもい、なくならないでほしい……などと勘違いすることである。「にんげん」じゃなくて「わたし」が。なのかもしれないのだけれど。
そんなふうに愛しのすきっ歯を撲滅すべく入れた仮歯がけさとれたのだ。仮歯はわたしの歯茎から巣立ち、巣立ったことすら秒でわすれ、じぶんがいきたいところへ流れていった。
そう…わたしの仮歯はわたしから巣立ち自由の身となり「カランカランカランコロンウォオオオオ」といったかはしらないけれど、流れる水にのって排水溝へ吸い込まれた。
きれいに。うつくしく。飛び込みの金メダルの装いで。
そんなわけでわたしはしばらく茫然自失。
その後「え…え……えーーーーーーーー! は? なに? どこいっちゃったの? なんなのよーーーーー」と絶叫し、数分悲しい気持ちになっていたが、「いや…おもろいんじゃないですか…この歯」と開き直り、すきっ歯よりもすきっ歯全開で一日を過ごしたのだった。
この歯の姿もきょうでおわり!
失礼しました。。。