なんとも潔いタイトルである。著者の意見によると世界の事件の背景には多くの場合脱税が絡んでいる。そこまでオーバーではないにしろ、社会的動物である人間はなんとか税金を払いたくないと考えるのに対して、施政者はなんとかして国民や市民から多くの税金を取ろうと考えるものである(そして施政者自身はインサイダーやコネを使ったりして自身の税金は払わない)。
冒頭に著者が述べているように、「民が疲弊しないように効率的に税を徴収し、それをまた効率的に国家建設に生かす」というのが国が隆盛するための絶対条件である。徳川家康も(本当に言ったかどうかはわかりませんが)「民は生かさず殺さず程度に年貢を納めさせるのが良い」と言っています。とにかく何がなんでも税金を搾り取ろうとする姿勢は、古今東西の支配者に共通する。
税金はおそらく人類が村のような集合体が誕生した頃からあるだけに、それぞれの国や地域に根付いたシステムである。それだけに歴史が積み重なって訳のわからない税システムになったり、新しいものになんでも課税しようとする。最近ではインターネットやSNSにも課税しようとする。
大体多くの国や民族が衰退するのは税システムが古くて機能しなくなったり、著しく一部の人間が豊かになったり、過酷な税金を国民に押し付けることがある。日本で言えば、日本史でみんなが覚えた、墾田永年私財法である。これによって平安時代の日本は藤原氏が強くなり過ぎた。中世ヨーロッパでは多くの王と貴族が戦費を賄うために農民に重税をかけた(しかも貴族は免除された)。
今でも企業や富裕層はあの手この手で税金を免れようとする。アマゾンやアップルの税逃れは有名で、逆に各国はなんとかしてこれらの企業から税金を取ろうと躍起になっている。グローバル社会は脱税のシステムも非常に複雑にしている。
個人的には税金を取られるのはまあしょうがないとして、
とだけ思う。この公平と正しくってのも難しい問題ではあるが。