
おおよそ全ての男子(一部の女子も)は世界征服は一度は志したことはあると思う。しかしおおよそほとんどの志望者は真面目に考えていない。この本はいかに世界征服を実行をすべきかを真面目に考察している。
日本の少年たちが世界征服を意識したのは特撮やアニメ、マンガからの影響だっただろう。しかし空想社会の世界征服を企む悪の組織や王たちは何をしたいのか大抵わからない。例えば仮面ライダーの怪人たちはなぜいつもタイマンでライダーと闘うのか?集団でボコってしまえばいいのに。悪の集団のくせになぜ正々堂々と戦おうとするのか?多くの少年たちはさぞかしヤキモキしただろう。
まず世界征服には明確な目標が必要である。大きく分けて世界征服には四つの目標が存在する。一つ目が人類の絶滅である。これはいかにも悪の組織らしい目標であるが、実はこの目標はあまり現実的というより実用的ではない。大変な行為のわりには特にメリットがない。奴隷にしたほうが手っ取り早いし金になる。変な言い方だが、全滅させるようとするのは、強烈な正義感が必要となる(例えば人類に深い憎悪を抱くなど)
二つ目の目標がお金や領地が欲しいという理由である。これは古今東西の歴史の多くの支配者たちが戦争の理由としてきたことである。しかし現代で言えばお金が欲しければ、IT起業家になったほうがはるかに安全で可能性が高い(もちろん世界征服に比べればという意味だが)。
三つの目の目標が支配されたくないから攻めるという理由である。これも実際の歴史によくある例である。これこそどちらが正義かはわからないが、負けたほうが悪になるのが世の常である。
四つの目標が悪を広めるということである。これは実際にはよくわからない理由だが、アニメで言うならピッコロ大魔王がこれにあたる。ちなみにそれ以外も空想世界ではたくさんある。この典型は北斗の拳の聖帝サウザー様である。彼はいかにも悪の帝王であったが、結局何がしたいかわけがわからなかった。
世界の征服者のタイプには四つある。魔王、独裁者、王様、黒幕タイプである。魔王は自らの正しい価値観で全てを支配したい、正義感の強いタイプである。逆にいうと自分に従わない、愚かで醜い人間は全滅にしても構わないという強烈な意思を持った支配者である。
独裁者は責任感が強い働き者な、人類の管理人というべきタイプである。命令が上手で人を操るのが上手で、それがうえに自分が誰よりも良く働く人である。そのためひょっとしたら良い上司かもしれない。しかし働きすぎて過労死するタイプである。実際独裁者は大体過労気味になるらしい。
王様は自分が大好きで贅沢が大好きなタイプで、要するにバカ殿である。北の将軍様みたいなものである。ひょっとしたら多くの志望者がこれをイメージしているかもしれないが、世の中こんな人だけではないのですよ。
黒幕は裏で人や世間を欺き、抜け駆けや裏交渉、政治闘争などを繰り返すタイプである。ある意味悪の愉悦に浸って、いかにも悪役として生き抜いている人たちかもしれない。
さて世界征服が可能であるかという表題の疑問に戻ると、著者の結論は、
である。現代社会の世界の支配者がいたとして、それは世界中の問題ごとの責任を取らされる人である。ちょっと前のアメリカ大統領みたいなものである。中東問題、環境問題、核兵器廃絶などなど、世界の問題になんらかの意見と解決策を求められる。しかし大して給料が高いわけでもない(メジャーリーガーの方が高い)。愛人も持てないし、すごい贅沢もできないし、偉そうな態度も取れない。下手すると自由に外出もできない。












