ブロックチェーンという技術と思想が人を惹きつけている。ただ傾向として、ブロックチェーン好きはその思想に強く共感するが故に「この技術を何かに使えないか」「トークン作ったら面白いのでは」という発想の人が多いがこれは良くない。決して「ブロックチェーンありき」で価値の変動するトークンを作ってはいけない。
もしも、トークン発行を考えている仕組みが以下のいずれかに当てはまる場合は、客観的な視点での再検討をお勧めしたい。
・既存経済の「ポイント」をトークン化しただけの仕組みになっていないか?
・特に課題もないのにブロックチェーンやスマートコントラクトを持ち込もうとしていないか?
→非中央集権の実現によって、既存業界と比べて何がどうユーザーにメリットがあるのか。もし「ブロックチェーンでもできるが、別の方法でも実現できる」ことならば、今まで実現していないのにはきっと理由がある。まずそれを深掘りし、理解するべき。
・送金速度やキャッシュレスの恩恵だけならBTCやETH、XRPでも同じでは?
・わざわざ通貨を増やして、ユーザーの利便性を下げようとしていないか?
→多数の通貨が乱立している不便な世界を嘆いていたはずなのに、ブロックチェーンの思想に浸かり過ぎてユーザー視点を忘れていないか。ユーザー視点のないトークンに、良いコミュニティを作れる道理はない。
一度トークンエコノミーやコミュニティの素晴らしさを知ってしまうと、誰かに伝えたくなるし、この力で何かを変えたいと考える。が、それは本末転倒している(このパターンで派手にICOしたりすると反発を買うことも多く、ものによっては詐欺を疑われて暗号通貨市場全体の評判を下げるおそれもある。ICO参加の際にはホワイトペーパーなどで自分の目で確認する必要があるだろう)。
本来、
・現在の課題は何か(今、みんなが困っていることを解決するアプローチ)
・作りたい未来を描く(こんな未来になれば今よりもっと便利になる、良い社会になる)
→そのために、これまで実現できなかった点をブロックチェーンやスマートコントラクトなら解決できる、という観点が重要。問題解決の方法、手段として検討されるべきものなのである。
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上記のようにアプローチを誤ると、慎重派(即ち暗号通貨を所持していない多数派)の方々の理解は得られない。ちなみにそういう方にコミュニティの素晴らしさなどをいくら語ったところで伝わるはずもない。ここに至ってBTCも購入していない方々は、「個人に力を取り戻す」というブロックチェーンの思想にも実のところさして興味もない。
しかしそういう方々こそがマジョリティであり、これから数年で暗号通貨の世界に入ってくるのだ。今まで決断できずに遅れてやってくるプライドの高い彼らに、気持ちよく暗号通貨に参入してもらうためには、正しい順序でブロックチェーンの利活用法を考え、合理性のある説明を行い、「よしわかった」と言ってもらわなければならない。
それが暗号通貨全体を盛り上げるのだから、もちろんそうすべきだと思っている。