中学の頃の話だ。
私は、中学1年生の1学期の期末試験を受けていた。理科のテストでさっぱりわからず、頭を悩ませていた。
当時、テスト用紙は試験終了後一番後ろの席の生徒が回収し、教卓まで持っていき、教師が取り纏めることになっていた。
私の列の一番後ろに座るYという生徒がテスト用紙を回収する役目であった。
このYという生徒は、調子乗りで、パンチの強さを引け散らかすため、肩パンをしてドヤ顔をするような、いわばポンコツであった。
当時の私もポンコツであった(今もだが)。
試験終了後、Yが答案用紙を回収しに来た。いつも通りのルーティーンである。
私は問題用紙をYに差し出した(なぜなのか誰にもわからない)。
Yは、問題用紙を受け取り、何事もなく、教卓まで持って行った。
そして私は解答用紙をカバンにしまった。
帰路につき、カバンの中を整理していると、あるはずのものがなく、ないはずのものがあった。
私は愕然とした。テストは当然0点、期末試験という重大な試験で解答用紙を持ち帰るという前代未聞の不正行為により、退学も免れないのではないか。
そう思ったのだ(公立中学なので退学はないのだが、仕組みが良くわかっていなかった。)
母に報告。あんた何やってんのやと叱られ、茫然自失となり、このまま人生が終わるのかとうなされ続けたのである。
しかし、非常に運が良かったことに、この科目の教師は、新任であり、しかも、当時、授業中にいきりだす学生も叱れないほどの気弱な人であったため、もしかしたら怒られずに、何もないかもしれない、と一筋の希望が見えたのである。
色々悩んだ末、引きこもらずに学校に投降した。
解答用紙を持っていき、職員室へ行く。
先生、理科の教師の下へ向かい、謝罪をする。間違えて解答用紙を持って帰ってしまいました。
「えー」と間延びして困惑する教師。
怒るというより困惑した感じで、これは怒られずにいけるか?と思ったその矢先、
新任教師が困惑していることをさっちして駆け寄る学年主任のおばさん(ヒステリックで学校一厳しい)。
あんたなんてことしてんの!!あほか!!と案の定怒られる。
カンニングやんか!!と。
ついでに後ろの席のYも校内放送で呼ばれて怒られる。
こんなん許してええんですかとぐちぐち言われ、私は天に運を任せて許されるのを待った。
言い訳をせず、謝罪を続けたのが功を奏したのか、いうことがなくなったのか30分くらい説教されて、もうええわ。もしかしたら0点になるかもしれないけど覚悟しときと言われ解放。
終わった。。でも自業自得だから仕方ないと思ってとぼとぼ教室に戻る。それ以上は何事もなかった。
テスト返却の日。
当然テストは0点だろうと思っていた。
私の返却の番。
教師の元へ重い足取りで向かった。
「今回限りで特別だからね」と言われ、解答用紙を返却された。
30点と書かれた私の答案用紙があった。
私が真面目な生徒だったこともあり、特にお咎めなく終わったのであった。
真面目に受けて30点という異常に低い点数のおかげで不正行為はないだろうと思われたのかもしれない(点数低すぎて不正行為でないことはわかるだろとおもっていた節もあった)。