
◼️おさらい・・・以前の記事で言いたかったこと◼️
少し前に、仮想通貨の将来について、心配する記事を書いた。
「仮想通貨が進化に失敗すれば、旧来技術に負けてしまうおそれがある」という内容だ。
この記事の中で、私は「対抗強化」という言葉を使った。
私の造語である。
これは、新しい技術が、古い技術の進化を促してしまうという現象をいう。
以前の記事では、こう書いた。
旧勢力の打倒ーー。
それを目的に始まったはずの改革が、裏目に出て、逆に旧勢力を強化してしまう。
あるいは、打倒するつもりはなくても、ある革新的な勢力やモノが、古いものの息の根を止めるどころか、むしろ延命させてしまう。
こうした現象を、とりあえず「対抗強化」と名付けよう。

要は、仮想通貨というのは画期的な試みではあるが、それによって、従来からある銀行や、クレジットカードや、電子マネーが、負けじとばかりに自己改革に尽力し、逆にそれらが仮想通貨を打ち負かしてしまうのではないかーーーということを言いたかったのである。
さて、この記事で言いたいのは、「対抗強化」に似た言葉を見つけた、ということである。
それは「帆船効果(はんせんこうか)」という。
検索してみると、いい説明があったので、そのまま引用する。
革新的な技術が出現すると、旧来産業が負けじとばかり既存技術を改良して競争力を高める結果、既存技術が延命し、革新技術の普及時期が遅れることがある。この現象は「帆船効果」と呼ばれる。19世紀初頭に蒸気船が実用化されたが、旧来の帆船は即座に蒸気船に駆逐されることなくむしろ進化を遂げ、かえって帆船が活躍する時代が長引いたという事例に基づく用語である。
ーー新技術の普及遅らす帆船効果 2016/7/1付 日本経済新聞夕刊
19世紀を通じて、貿易では帆船が使われた。
イギリスーオーストラリア間を67日で後悔したという快速帆船「カティ・サーク号」が発注されたのは、1869年だそうだ。
しかし、このころ、とっくに蒸気船が発明されていたのである。
最初の鉄製の蒸気船「アーロン・マンビー号」がイギリス海峡を横断したのは、その半世紀近く前の1822年だったという。
蒸気船が発明されてからも、航海の主役は、依然として帆船だった。
むしろ、蒸気船が発明されたことによって、帆船業界に技術革新の爆発を引き起こしたのだ。
旧来技術は、なかなかしぶといのである。

以上のような話を、私は本を読んで知った。
タイトルは『ビットコインはチグリス川を漂う マネーテクノロジーの未来史』。
筆者はデイヴィッド・バーチという人である。
「帆船効果」という言葉をもとから知っていれば、以前の記事で、「対抗強化」などというお粗末な造語を使わずに済んだなぁ、としみじみ思う。

この本は、お金の歴史を振り返りつつ、その未来に考えをめぐらせるという内容だ。
事例や雑学も豊富で、飽きさせない楽しい内容だ。
ちなみに、帆船効果の話は21ページに出てくる。(まだ序盤しか読んでいないのがバレるなぁ)
さて、続きを読むか。
(2019年11月30日)










