異称とは公式ではないけれども、使われている名前です。
これは、人物に対するニックネームやペンネームと呼ばれるものから月の呼び方もあります。
今回は、10月の異称である「神無月」についてお話しします。
神無月のお話の前に1月~12月の異称を確認しましょう。
1月 睦月(むつき)
2月 如月(きさらぎ)
3月 弥生(やよい)
4月 卯月(うづき)
5月 皐月(さつき)
6月 水無月(みなづき)
7月 文月(ふみつき)
8月 葉月(はづき)
9月 長月(ながつき)
10月 神無月(かんなづき)
11月 霜月(しもつき)
12月 師走(しわす)
それは、日本中にいる「八百万の神(やおよろずのかみ)」がとある場所へ集まってとある会議を行うため、日本各地から神がいなくってしまうからです。
前項目で、日本中の神がとある場所へ集まるとお伝えしましたが、それはどこかというと「出雲」です。
そのため、出雲では10月を神「在」月と言います。
日本中の神々は出雲に集まりとある会議を行うと言いましたが、それはどんな会議かというと・・・。
恋愛に関する会議です
どの男性とどの女性をくっつけるかについて真剣に議論をする神様。ロマンティックと思う方や少しおかしく感じる方もいらっしゃると思いますが、恋愛、特に結婚はその人の人生を決めると言っても過言ではない一大事です。
もし、それに不満があっても自分で選んでいるのではなく神々による決定だという風に考えることで納得することができたり、良縁に恵まれるためには神々へのお祈りを欠かさなくなるなど人々の心に大きく影響を及ぼします。
ここまで神無月は神がいないため、神「無」月と呼ばれていると述べましたが、実はこれは、後になって生まれた俗説です。
これは、6月の水無月から考えることができます。6月は梅雨で水が多い時期ですよね。
これは、水無月をまずひらがなに変換します。すると「みなづき」ですね。さらにこれを語彙ごとに分けます。「み/な/づき」です。「み」は水の意味で「な」は「の」を意味する連体助詞の「な」です。すなわち、現代語訳すると水無月は「水の月」となります。
この考え方に従うと、神無月は「かんなづき」→「かん/な/づき」→「神の月」となります。
神無月と神在月
では、なぜ「神無月」と「神在月」が存在するのかというと、御師(おし/おんし)と呼ばれる寺社に所属し参拝者を案内し、参拝や宿泊の手助けをする者たちによって、神無月に対しての神在月が広められました。
・日本中の神が出雲に集まるため神無月と呼ばれ、出雲では10月を神在月と呼ぶ
・出雲に集まった神は縁結びについての会議をする
・しかし、本当は「神の月」という意味の語が連体助詞の「な」を使うことで「神無月」となった
・神が集まるという意味の話は出雲の御師によって全国に広められた