この子は
小学三年生のとき
中国から日本へ来て
日本の小学校に入った。
その時、先生から「ええぞ、カルロス」を見せてもらって読んだという。
それ、僕、書いてん。
ええーええーええー。
あの本はそういう子たちを救う力があるよー。
とこないだネット上でやりとりした子に今日初めて会って、カフェで3時間くらい話した。
この本はもう残部少ないから、
売りも、上げもしてないんだけど、
一冊上げるね。
わあ、これ、欲しかったのー。
ほんと、めったにあげないんだよ。
前にカフェのカウンターでとなりあわせた外国人にどこから来たの?と聞いたら、
小学校のとき、ブラジルから来たといったことがあった。
じゃあ、これ見てとスマホでポルトガル語版見せると、
ぼろぼろ、泣き始めた。
そして、
今だから泣ける。
でも小学生のときは、なんで私の言葉がわからんのじゃーと怒って、男子を投げ飛ばしていた。
でも、本当は苦しかった。
今ならそれを認めて泣ける。
と言った。
うわ、これは上げなあかんと思って、その子に次に会ったとき、上げたけど、それ以来かな。
そのブラジルからの子はこの子。
で、今日会った中国からの子は、この子。
こう言ってはなんだけど、ナンパしたわけでもなく、友達になって、作家の役得じゃない?
写真SNSとかに載せていい?
いいよ、全然こだわらない。でも学校帰りだからほぼスッピンよ、しまったな。メイクしてくればよかった。
大丈夫。
大丈夫。
充分、かわいい。
でも二日前に始めたTiktok(フルメイク)を見た人から、3件くらいモデルのオファーが来ているという。
わっ、フォローするよ。
中国のTiktokだから、そのスマホにインストールできないんじゃないかなと言いながら、自分のスマホで見せてくれた。
このスマホ、ファーウェイなんやけど、マジできない?
えっ、ファーウェイなの? できるかも。
ちょっと貸して。
、、、あっ、ピンイン入力できないと探せないわ。
ピンインキーボード、インストールしてあるよ。今、切り替える。と、僕。(中国人の友達、多いからな。)
でも、結局、グーグルプレイに中国語のTiktokがなくて、インストールできなかった。
えーん。
グーグルと中国、仲良くしてくれないかなあ。
僕とこの子の草の根コミュニケーションが、阻害されとるやないか。(・_・;)
その後、話題は生き方(なりわい、仕事)、恋愛、死後の世界まで多岐に渡ったけど、
ALISにも載せた中国語の詩の僕の訳も見てもらった。
これ。
僕はこの王さんの詩を見た時
これだけの字数なのに
中国語の表現力に舌を巻いたんだよ。
そうなのよ、中国語は日本語より短く、深い表現ができるの。
だと思う。日本の詩人としては悔しいけど、直訳ではこの味は出ないから、
一回、何を表現しているかの世界まで下りて、それから改めて、日本語の詩にして同じことが表現できているように作った。どう思う?
合ってる。よく読みとってすごい訳やわ。
うれしい! あと、日本の詩は寄物陳思やから、タイトルを想念にしたら、ダサいの。だから、鞦韆にした。これは日本の俳句でも春の季語やねん。でも、中国語の詩では、タイトルが想念の方がいいんだよね。
そう、中国語では、この詩は想念だわ。
鞦韆にするとダサい。
その感覚、言語が変わると違ってくるという感覚そのものが、僕はわかるようになってきた。
ああ、楽しい三時間だった。
駅まで送ってくれて、またいっぱい話そうねと言ってくれた。
作家の役得 シリーズ 続編
https://alis.to/abhisheka/articles/K8DGnQ68bDyW