2012年12月25日
「アレクサンドリア」はいい映画だった。
5世紀のアレクサンドリア図書館が舞台。
勃興するキリスト教徒によって、異教の巣窟と断定された図書館は破壊されてしまう。
さらにはユダヤ教徒とキリスト教徒の熾烈な争い。
そんな中、女性哲学者ヒュパティアは智を愛する哲学という立場を貫く。
彼女は男性の弟子たちからの求愛も拒み、宇宙の構造を知ることだけに没頭する。 しかし、そんな生き方がキリスト教徒のオヤジたちの気にさわり、やがて異教の魔女と断定されてしまい・・・。
初めは宗教の愚かさについての映画かと思いきや、あれ、フェミニズムのテーマが絡むと思いきや、結局は「宇宙の中でこの星の上に智を愛して生きる」ということを描いていたりする。
(カメラワークがしばしば鳥瞰的になり、時に宇宙からの視点にまで上昇するのが興味深い。)
しかも、そんな中、ヒュパティアの虐殺を描いたラストシーンが秀逸。
どんな死に方をするかはネタバレなので言わないが、そのシーンのカット編集が映画という創造の遊びを知り尽くした監督のやる仕事だと思った。
そしてやはりこれは恋愛映画でもあったのである。ああ・・・。