凍てつく冬の夜空
雲は
高い場所を
ゆっくりと流れ
その隙間から
煌々と月が照る
僕が月を見ているのか
月が僕を見ているのか
僕は今
一個の生き物として
醒めわたり
遙かな光に
照らし出され
星々を
瞳に映して
白い息を吐いている
やがて
僕はこの世を去るだろう
父が去り
母が去っていったように
あの
かけがえのない小さな命が
僕より先に
逝ってしまったように・・・
僕らすべての亡きあと
月は
それでも
水面に映り
微かな風に揺らぐだろう
見えない手が
そこに小石を投げ入れると
PROP!
果てなき宇宙の破顔する
水の音
月は砕け散り
星たちは狂ったように旋回し
くすくすと
木立ちにさんざめく
精霊たちの笑い声
ガーテーガーテー
パーラーガーテー
パラサンガーテー
ボーディスヴァーハー
やがて
光の乱舞は鎮まり
宇宙鏡の波紋は消えて
月は
また
永遠に
そこに映っているだろう