どんな大自然の奥地でも、遺跡の内部でも、電動車椅子でアクセス可能な遊歩道がなければならないとは、 私は考えてはいない。けれどもほんのちょっとした工夫で車椅子にもアクセス可能ならば、やはり行ってみたい気持ちはあるのだ。
ある観光地でお土産屋さんに「この道から車椅子で岬まで行けますか」と尋ねた。 「わからない」と言われた。無理なのかな?と思い、別ルー トを選んだ。ところがその途中に階段があった。ほんの数段だったので、介助してくれていた友人につかまって降りようと立ち上がった。しかし、低酸素脳症後遣症特有の緊張と控撃が止まらなくなり、転倒した。折りあしくそこに高さ五十センチほどの 石柱があった。私は石柱の頭にしこたま脇腹をぶつけた。 結局、お尻で階段を滑り降りて、車椅子に乗り直し、岬を回った。すると先ほどお土産屋さんに尋ねた道に出たのである。こちらからなら、 階段なしで岬へ行けたのだ。
ほんの少しの案内や地図で、車椅子が安全にアクセスできる場合がある。逆にそれがないために行けなかったり、怪我をする場合がある。現地の友人が関係機関に働きかけてくれ、バリアフリーの案内板を増やすことを引き受けてくれたNPO法人があった。
石柱で強打した脇腹では肋骨が二本折れていることがわかリ、私は旅を中断して帰阪した。治療法といってもこの場合「安静」以外には方法がなく、激しい痛みに耐えながら療養中である。
追記 このとき折れた肋骨は1ヶ月ほどの療養でほぼ完治しました。