野球の夢を見るのは珍しい。
何かとても大事な試合だった。
負けるわけには行かなかった。
しかし、勝算は低いと言われていた。
最初にこっちの誰かが場外ホームランを打ったほかは、チームは振るわなかった。
ランナーは何回も出たが生還はなく、ボロ負けしていた。
大差で迎えた9回裏。
僕は相手と議論しながら間違って6回空振りしてしまい、2アウトになった。
あとひとりで負ける。
それは殆ど敵に支配される体制の完成を意味していた。
僕のせいで負ける。
最後のバッターが座席に立ち2ストライクまで追い詰められた。
僕は誘われて「スタンド席に登って見とどけよう」と言われた。
僕は身体障碍で登れないと言った。
大丈夫、みんなで援助すると言われ、登っていった。
スタンド席から、
あと一球で負ける瞬間を見届けようとしていると、
空の彼方から何か飛んできた。
それを見てアナウンサーが
「一回裏の場外ホームランが宇宙一周して帰ってきました!」
と叫んだ。
僕は地球一周じゃないかと考えたが、
本当に宇宙一周なのかもしれないとも思った。
その球はスタンド席に突き刺さり人々はどよめいた。
「宇宙一周ホームラン!今まで出たすべてのランナーが生還し、加点されます!」
とアナウンサーが叫んだ。
大逆転で僕らは勝った!