街の設計に当事者の意見を
一般的な多機能トイレではまず自分で引き戸を右に引く。ドアは開いた状態では静止しない。右手でドアを押さえたまま、左手を体の前から回す。その左手で電動車椅子の右側肘置きにあるレバーを前に倒して前進する。トイレに入るために障碍者にアクロバットのような恰好をさせるのである。
入ったら、狭い室内で車椅子を一回転させる。手を放すとドアが閉まるが、掛金になった鍵をかけるには向き直る必要があるのだ。それからもう一度一回転してやっと便器に近づく。
よくできた多機能トイレが、例えば大阪市営地下鉄駅には多い。入口に「開閉」のボタンがあり、「開」を押すとドアが開く。すっと入ると壁にボタンがあり「閉」で閉じる。と)鍵も締まり、そのまま便器へ赴く。ぐるぐる回らなくていい。
用が終われば、「開」を押し、ドアを開けてから、手を洗う。そして、そのまま外に出る。ドアは後で自動的に閉まるので、山た時には「閉」を押さなくてもいい。掌は、極めて清潔である。
家屋の内装では、特にキッチンについては主婦(または主夫)の意見を聞くのが一番いいという。優秀な建築家でも実際にその場を使用していない中での想像力には限界がある。障碍者を含む多様な当事者の意見が、ユニバーサルデザインには、 重要だと思う。