『彷徨える河』
民博でやっていたという映画のDVDを人に借りたので見た。
ああ、民博だーという感じだった。
人類学者がアマゾンへ行き、たぶんアヤワスカがモデルと思われる聖なる植物(ふたつの植物混合煮出しなのもアヤワスカ!)を飲むまでの話だけど、その飲んだときのヴィジョンが貧弱でがっかりした。
それまでのアマゾンの風光や白人キリスト教徒のネガティブな描かれ方などは興味深かったが、はじめからわかっていること。
白黒映像の仕上がりがわりとよかったので楽しめたが、中身を文字で考えると特に驚きのようなものはなかった。
ないものねだりとしては、ラスト5分でアヤワスカを飲んで、貧弱なヴィジョンの描写で「はあ? それだけ?」で、終わるのではなく、
少なくとも映画の中程でアヤワスカをはじめ、ヴィジョンをシャーマンに報告し、アドバイスを受けてまた飲み、何回も何回も飲み、修行してほしかった。
そこに殺戮され破壊されていくアマゾン世界、「レイプ」(広い意味で)される南米のヴィジョンをこれでもか!と重ね、それでもそれを超えていく超越的な世界も描いたら、見応えがあったのではないか。
民博では中牧が専門家だが、20年ぐらい前、民博がわざわざパブロアマリンゴというシャーマン画家を呼んで講演をしたりしたとき、会いにいったが、あのときも、中牧さんはヴィジョンについての突っ込んだ質問をするとアヤワスカ体験をリアルに語るのを避けている感じがした。
じゃあ、何のための研究なのかよくわからない。
外から見た民族誌的研究しか発表しませんというのなら、かえって失礼で、行かない方がマシではないのか?
この映画もそのあたりでとどまっている感じがした。
僕のアマゾン小説はこれ
1 性と死の探求のはじまり
2 サンフランシスコで聞いた噂
3 アマゾン 意識の爆発
4 華に食べられる男
5 日常の闇に潜む死の深淵