言葉は、宇宙の融通無碍なエネルギーが、私たちの意識に届いた波打ち際である。
各民族の魂を通じて意識に昇る民族固有の言葉には、それぞれ特有の言霊が宿っている。
それゆえにこそ、人類が繰り返し行ってきた伝統の破壊においては、まず真っ先に攻撃されたのは言葉である。
侵略された国家が最初に奪われるのは言葉である。
または国家が自ら伝統を放棄し、「近代化」の名の下に対外的対抗を準備する際に、最初に改革するものもまた言葉であった。
私たちの国、日本もいくつもの段階に渡って、自ら伝統的な言葉を無理な力で改革してきた。
あるいは主に米国による侵略行為によって言葉を破壊されてきた。
改革には積極的な意味のあるものもあった。
しかし、近代以降の改革は概ね、失敗であったと私は考える。
またそれに止めを刺したのは、敗戦を経て、GHQの影響を受けながらも、結局、自らの意志で敢行してきた国語改革であった。