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本と本屋について#1番外編

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  • ばば
  • 2020/01/04 18:40
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議論メシを通じて1年弱関わってきたBookShopTravellerという本屋のアンテナショップでの間借り店主を辞めたことを機に、本と本屋について考えていることを3回に分けて書いてみたパート1にて「本とは」ということを書きました。しかし、これは本を読む側である私のイメージであって、視点が不足しているかなとネットサーフィンをしていて思ったので、別視点として少し書いておきたいと思います。

本とは

パート1ではきれいごとを書きました。今回は少しリアルな「印税」の話です。ご存知の方はふーんで終わってしまうので、つまらないかもしれませんが、最後までお付き合いください。

印税について

紙の本の印税は一般に10%と言われています。発行部数販売部数のどちらを基準とするかの違いはありますが、以下で計算できます。

印税=販売価格×発行or販売部数×印税率

500円の本が1,000冊売れ、印税率10%の場合は、500円×1,000冊×10%=50,000円となります。シンプルで分かりやすいですね。ただ、ライターが居たりすれば折半などしてさらに著者に入る金額は減ることになります。
また、発行部数や販売部数などの契約の差があるのも特徴です。発行部数での契約であれば、どれだけ売れたかは関係なく、刷った数となるので売れ行きが見込めない場合は、発行部数での条件のほうが著者は有利となります。

発行部数での条件の場合、刷った数に対して印税が発生する
メリット:売れ行きが悪くても発行部数に対しての印税を保障
デメリット:たくさん売れても著者には還元されない

販売部数での条件の場合、実際に売れた数に対して印税が発生する
メリット:たくさん売れれば、著者の収入がうなぎのぼり
デメリット:印税保証がないので、売る努力が必要になる

どちらが良いかはよく考えて契約する必要があります。著者に選択の余地はなく、出版社によりけりですし、販売部数での契約でも初版保証があることもあるので、どの出版社から本を出すかは重要です。

一方、Kindleなどの電子書籍の場合の印税率は10%~70%と紙媒体に比べて高い傾向があります。中間業者がない分、著者の取り分が多くなっています。ただ、こちらは発行部数という概念がないため、販売部数による印税しかありません。また、巻売りだけではなく、話売りやサブスクなど多様な販売方法が出てきているため簡単に計算できなくなってきていますが、計算イメージは紙の本と同じと思って問題ないです。
印税率に開きがあるのには訳あります。出版社を通して電子書籍を販売する場合は10~30%著者自身が販売する場合は70%といった感じで、どのように販売するかで変わってきます。70%の印税率を選んだ場合、編集やデザイン、宣伝などをすべて著者が行う必要があります。また、Amazonで70%の印税をもらうためには、KDPセレクトに登録する必要があります。簡単に言うとAmazon独占販売を許可するということです。著者の仕事が増えてしまい創作活動ができなくなるので、出版社を通して色々な専門家も入れて20%くらいの印税をもらうということもありかもしれません。

印税の税金

会計ソフト作っているので税金のことも少々。印税収入に対して10%の源泉所得税がかかります。印税が100万円を超えると約20%の源泉所得税がかかります。本業としての印税収入であれば「事業取得」、副業であれば「雑取得」となります。確定申告する際は気を付けましょう。(ざっくり書いているので申告時は税理士さんか税務局に確認してください)

この源泉所得税は結構くせ者です。悠々自適な印税生活を送るのを難しくします。以下を例に説明します。

500円の本が1,000,000冊のミリオンセラーになり、印税率10%だった場合は、以下のように5千万の収入を得ることができますが、これに源泉所得税を差し引くと、4千万となります。
印税:500円×1,000,000冊×10%=50,000,000円
源泉所得税:50,000,000円×20%=10,000,000円
差引金額:50,000,000円-10,000,000円=40,000,000円

ミリオンセラーを連発すればいいですが、サラリーマンの生涯賃金が2億円(平均値なのでこの金額自体に異論がありそうですが)と言われているため、ミリオンセラーを5回(本の単価が1,000円なら2.5回)出して、ちょっと裕福なサラリーマンといった感じです。悠々自適とは程遠いですね。
 

印税のところでAmazonなら70%と書きましたが、創作活動以外の仕事もしてやっと70%です。今後電子書籍を出す敷居が下がってくればよいですが、現状はなかなか難しそうです。(詳しくはこちら。勝手に紹介してますw)

結局、電子書籍?紙?

電子書籍と紙の両媒体での印税について書いてきました。で、結局、著者はどちらがお得なの?という観点で最後締めくくりたいと思います。

市場規模の差を見てみます。(詳しくはこちら
2018年の紙と電子の市場規模は以下の通りでした。


 2018年  :1兆5400億円(前年比5.7%減)
 2019年上期:  6371億円(前年同月比4.9%減)
電子
 2018年  :  2479億円(前年比11.9%増)
 2019年上期:  1372億円(前年同月比22%増)

規模としては紙のほうがまだまだ大きいですが、このまま行くと電子が紙を抜くのは時間の問題のような気がします。ただ、出版業界の体質(出版社→取次→書店)を考えると、紙を残すように圧力をかけてきそうです。また、電子書籍は紙より下という考えが蔓延しているので、著者も含め、紙の本を買うことを良しとする文化が形成されているように思います。

ということで、読者としてどうするか?と言えば、現状は紙の本を買ってあげることが著者への応援になります。ただ、電子書籍へ流れていく大きな流れは変わりませんので、この形は応援の仕方も変わっていく可能性があります。電子書籍で得た顧客リストを使って、SNS等でセルフブランディングする人が出てくると、一気に動き出していくと思います。

 

本と本屋(本編)

 

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