韓国の学歴社会っぷりは日本でも報道されるほどに過酷なものとなっています。このことは特段深堀しなくても想像はつくでしょう。韓国では、生まれた時から受験戦争が始まっており、どこの高校に入り、どこの大学を出たかで人生が決まるとまで言われています。
韓国の受験勉強については個人差があるのは当然ですが、その苛烈っぷりは個人の勉強時間だけではどうにもならないともいわれています。なぜなら、ここでいう勉強とは大学受験などに対してアプローチを書けるものであり、テストありきの勉強であるからです。つまり、失敗してそこから学ぶ、という勉強ではなく、あっているか否かのテストゲームをベースにした勉強だからということです。
そして、その高校・大学に進学するにあたっては学費という壁が立ちはだかってきます。韓国の私立大学と公立大学の学費の差は非常に大きくなってきており、もしも同レベルの私大と公立出身の学生が並んだ場合、ほとんどの確立で私大出身のほうが社会的に優遇されるケースが多くあります。これは、基本的に資本を多く持っているのが私立だからという身もふたもない事実が、そのまま事実となっているのです。
名門が軒を連ねる2号線にのる、という言葉があるように韓国の大学では日本の6帝国大学のようなトップクラスの大学をSKYと呼んでいます。それぞれソウル大学、コリョ大学、延世大学の頭文字をとったものです。世界大学ランキングでは、ソウル大学が韓国国内でトップに位置しており、日本の東京大のような位置づけとなっています。次にランクインしているのがコリョ大学で、韓国国内で3番目、世界ランクが74位となっています。延世大学はその次に位置しており、79位です。
コリョ大、延世大はどちらも私立大学であり、唯一国立なのがトップのソウル大学です。
アジア圏の大学のレベルは年々上昇しつつあり、この前にも紹介したシンガポール国立大学に精華大学、マレーシアのマラヤ大学などは世界的に見てもトップクラスに評価されている大学といえます。
2023年アジア圏大学ランキング
1位 北京大学
2位 シンガポール国立大学
3位 精華大学
4位 香港大学
5位 南洋理工大学
6位 浙江大学
7位 復旦大学
8位 KAIST
9位 マラヤ大学
10位 上海交通大学
最新版の大学ランキングでは、日本の大学はTOP10にすら入っていませんでした。目立つのは中国、香港、シンガポールの大学でこれらだけで9割占めています。
確かに、韓国の大学は8位のKAISTが入っていますが、上述したソウル大や延世大はランクインしていません。もちろん、これは評価軸の問題もあるかもしれませんが、アジア圏の大学競争がいかに熾烈なのかが分かります。
このような世界の状況にそうように、韓国では大学の進学率が70%を超えているようです。すでに高水準にある大学進学率をもとに、韓国では「居住地」や「車」のほかに学歴がステータスとして加わりつつあります。
韓国では昔から続く名残の一つとして教育への考え方があります。名門の大学を出ることこそが将来の生きる糧となることは誰もが認めるところであり、それほどに教育段階というものを重視しています。
過熱が留まるところを知らない学歴社会化は放課後に習い事をしないと友達ができないといわしめるほどになっています。韓国では睡眠時間が4時間、毎日学校が終わっても22時までは勉強、というった社会文化レベルで受験というものが形作られてきており、それらから生まれる考えや価値観は諸外国にも影響を与えています。
よく耳にする言葉として、日本は学歴社会である、というものがあります。しかし、よく世界を見てみると意外に日本のほうが学歴社会の厳格さは緩いのではないかと思ってしまうほどです。今回紹介した韓国は学歴社会大国として出生時からその戦いが始まります。また、アメリカですらどこに住んでいるのか?によって学歴が決まり、学歴というのはアメリカ社会でもトップクラスで人生を左右するものといわれているためか、し烈な教育競争が繰り広げられています。
他にも、東南アジア諸国も教育段階には熱心でマレーシアやインドネシア、シンガポールなども日本以上の学歴社会があり、インドは言うまでもなくIITを頂点とした学歴社会ですし、イスラエルやフランスなどの欧州圏もバカロレアやエリート教育が多く存在したリジッドな学歴社会となっています。
韓国の厳格な学歴社会を見ていると、その社会的地位こそが人間の価値であるというかの如く考えを受けてしまいますが、確かに人間一人のスペックを学歴や年収で見ることは理にかなっており、それは韓国では否定されることなく受け入れられているということが分かります。