イノベーションにテクノロジー、そして経済格差、これはもう嫌というほど聞いた言葉だろう。しかし、なぜかそれらは「若干なじみのない事柄」に思えるのはなぜなのだろうか。
それは、テクノロジーの世界的なストーリーを追っていけばわかると思われる。
ここでは、日本と世界、とくに欧州の歩みを比較して何がどうなってきたのか、そしてこれからどうなるのかを考えていきたい。この記事は「テクノロジーと世界経済史」と「人類とイノベーション」なる本をもとに考えている。
最初に、ルネサンスはなぜ欧州で起こったのかを考え、次に産業革命についても同様に考える。その次に、日本でなぜそれらが起こらなかったのかの考察を簡単に加え、現代のアメリカについて仕事とテクノロジーという視点で考えてみる。その次に、現在進行形で世界中を席巻しつつあるWeb3やNFTの流れが何を意味するのかを考察する。
最後に、テクノロジーが今後どのような将来を迎えるのかについて述べる。
今回の記事から日を追うごとに、以下の目次に沿った内容を投稿していく。今回は、ルネサンスが欧州で起きた理由について深堀する。
なぜルネサンスは「欧州」で起きたのか?
なぜ産業革命が「イギリス」で起きたのか?
なぜ日本ではルネサンスが起きなかったのか?
日本は遅れているのか?進んでいるのか?
アメリカと、仕事の行方
自動化革命と格差社会
仕事、人間、スキル
Web3は豊かさを否定しているのか?
ステーブルコインと、NFTとFT
テクノロジーの将来
当時、ヨーロッパで「ルネサンス」という活動が勃興したのは知っていることだろう。しかし、このルネサンスは、なぜか「欧州」でしか起こらなかったのだ。中国でも日本でも、似たような気候水準なのにも、経済水準なのにもかかわらず、そしてメソポタミアでも起こらずに、なぜか「欧州」で起こった。
そして、続く1800年代に起こる産業革命もなぜか「イギリス」で起こったのだ。これは偶然なのか必然なのかわからないが、どうして産業革命はイギリスで起きたのか、そしてルネサンスがヨーロッパで起こったのかは、説明すると非常に長くなる。しかし、その理由はわからないことではない。
ルネサンスが欧州で起こった理由を端的に述べるならば、それは宗教の存在だろう。ヨーロッパは紀元500年ごろから中世という名前の時代に突入した。それはかつてのローマ帝国の繁栄とは比較にならないほどの大停滞だったという。これが、およそ600年ほど続いた。
このルネサンス前に起こった、大停滞時代である中世、ここで欧州では何が起きていたのかというと、宗教の興隆である。特にキリスト教がこの時期に勢いを振るったとされており、これがのちのルネサンスの源流になるといわれている。ルネサンスといえば、レオナルド・ダヴィンチやミケランジェロなどの天才が活躍した時代として知られている。しかしその実態は生産性という視点から見れば非常に乏しいものだったという。
これはルネサンスが産業革命とは違い、生産性という点においては全くと言っていいほど低い時代だったからだ。しかし、ルネサンスではかつての宗教時代の反動からか、様々な科学的見地を広める活動が起きたり、芸術や文化面で、ほかの地域(アジアや中東など)よりもまったく異なる様相を呈した。ルネサンスは、アジアやアラブ地域などの先進的な技術を導入した、ヨーロッパで初の機会であり、活版印刷術や羅針盤などの知見も折り合わって展開されていった。これによって、その後の欧州各国の生活水準や経済活動は、アジアなどのその他の地域よりも全く異なる方向に進んでいった。
まとめとして、ルネサンスは宗教への反抗心によっておこったものではないかと考える。
【次回へ続く】