JPモルガンは、ステーブルコインの世界が縮小を続けており、その状況が改善されるまで暗号資産価格の持続的な回復は望めないと指摘しています。ステーブルコインは、他の資産(たとえば米ドル)にペッグされた暗号資産です。
JPモルガンのアナリスト、ニコラス・パニギスツォグロウ氏は、アメリカの暗号資産への規制強化、銀行ネットワークに対する不安、前年のFTXの破綻による影響などの逆風が、ステーブルコインの世界の縮小に影響を与えていると述べています。
暗号資産価格は今年好調なスタートを切りましたが、最近1カ月間は低迷し、業界全体の時価総額は4月13日の1兆2600億ドルから1兆890億ドルに減少しています。
JPモルガンの報告書によれば、ステーブルコインの中でシェアを失っているUSDコイン(USDC)は、テザー(USDT)に取って代わられているとされています。アメリカの規制強化が引き続きUSDコインに打撃を与えているとも報告されています。
また、テザーの優位性は、アメリカ証券取引委員会(SEC)が競合するステーブルコインであるバイナンスUSD(BUSD)を禁止したことにより、さらに高まっていると報告書は述べています。
JPモルガンによると、アメリカの債務上限問題によって、主要なステーブルコインの準備金と米国債の保有量が注目を集めているとのことです。アナリストは、「主要なステーブルコインの準備金における米国債の割合が増加しており、アメリカの技術的デフォルトという不利なシナリオにおいて、ステーブルコインがペッグを維持することが大きな課題であることを示唆している」と述べています。
報告書によれば、このような不利なシナリオでステーブルコインが直面する問題は、暗号資産の取引や分散型金融(DeFi)へのアクセスを提供し、担保の供給源としての役割を果たすことを考えると、暗号資産エコシステム全体に影響を及ぼす可能性があると指摘されています。
JPモルガンは、テザーが債務上限問題を軽減するために、ステーブルコインの準備金を多様化しようとしたことに注目しています。