最近において、超伝導に対するブレークスルーが次々と起きていたことが明らかになり、量子コンピューター界隈に激震が走るかもしれません。Web3にAIはどれも「古典コンピューター」の中の話であり、これから話す量子コンピューターとは全くことなる「Old Tech」であるといえます。
2020年代後半にかけてのコアテクノロジーは、表層的な集積回路技術ではなく量子技術が主流になるでしょう。
量子、とはいっても非常に多くの種類があり、端的に紹介するだけでは何のことかわからないで終わります。こんな時はChatGPTに聞くのが一番いいでしょう。
量子コンピューターは、量子力学的な現象を利用して情報処理を行うコンピューターのことです。従来のコンピューターとは異なり、量子コンピューターは量子ビットと呼ばれる量子力学的な状態を持つ情報の基本単位を使って計算を行います。
量子ビットは、通常のビットとは異なり、0と1の両方の状態を同時に持つことができます。この状態を「重ね合わせ状態」と呼びます。
また、量子ビット同士は「量子もつれ」と呼ばれる状態を形成することができ、一方のビットの状態が変化すると、もう一方のビットの状態も同時に変化します。
量子コンピューターは、量子力学的な現象を利用して情報処理を行うため、その仕組みは通常のコンピューターとは大きく異なります。以下に、量子コンピューターの基本的な仕組みを説明します。
量子ビット
量子コンピューターの基本的な情報の単位は量子ビット(qubit)です。量子ビットは、通常のビットと同じく0または1の状態を持つことができますが、量子ビットは量子力学的な性質を持っており、0と1の状態を同時に持つことができます。この状態を重ね合わせ状態と呼びます。また、2つ以上の量子ビットを組み合わせることで、量子もつれと呼ばれる状態を形成することができます。
量子演算
量子コンピューターの演算は、量子ゲートと呼ばれる演算子を使って行われます。量子ゲートは、量子ビットに対して回転やフリップなどの演算を行うものです。また、量子もつれを利用して、複数の量子ビットを同時に操作することができます。
測定
量子ビットの状態を読み取るには、測定が必要です。量子ビットの状態を測定すると、その状態が確定し、0または1のどちらかの状態になります。また、測定によって、量子もつれ状態が解消されます。
量子コンピューターと現在広く使われているコンピュータを決定的に分ける特徴は、それが量子ビットによって定義されるかどうかでしょう。量子ビットは人工原子ともいわれており、単なる「情報最小単位」ではありません。
その量子ビットで最も主流なのが超伝導量子ビットです。ここで、超伝導を超電導ということもありますが、ここでは超伝導と表記します。
超伝導量子ビットは、コンデンサーとジョセフソン接合だけで成り立つ回路としてみなすことができ、このジョセフソン接合のどちらかの電極に電子があることで1か0かを判別します。
ジョセフソン接合は極低温で超伝導現象を起こし、そこでみられる量子効果をもとに演算を行うため、「量子」コンピュータというわけです。
ジョセフソン接合とは、SIS接合ともいわれておりSuperconductor - Insulator - Superconductor接合(超伝導体-絶縁体-超伝導体接合)として作られます。
絶縁体の両極に超伝導体が挟み込まれ、それぞれのどちらかの電極に電子が観測されることで0か1かを判別します。
そんな量子ビットですが、今では超伝導以外にも様々なアプローチが試されているようです。代表的なものでいうと「Wavelength Division Multiplexing(波長分割多重)方式」というものがあります。
これは最近登場したもので、5Gなどに利用されている技術を量子コンピュータにおける波動関数として利用する方式です。
上記で解説した超伝導方式だと、極低温まで温度を下げなければならなかったり、特殊な環境下でしか動作しないため、あまり汎用的ではありません。
しかし、光量子コンピュータは、常温でも利用できるというメリットがあります。これをにらんで考案されたのがWDM方式です。
また、WDM方式ではこれまで量子ビットを空間的に展開しなければならなかったところを、時間発展領域に増幅できるため小型化が可能であるというのもメリットとして挙げられています。
しかし、依然として光量子コンピュータは主流とは言えず、しばらくは超伝導方式がリードするとされています。
ある一説によると、21世紀は超伝導の時代になるかもしれないといわれています。人類史をたどると、まず最初に金属を介した電気伝導が開発されました。エジソンです。エジソンやテスラの時代にはまだ導体や絶縁体などが主流であり、半導体は活躍していませんでした。その後、半導体が発見され、ダイオードやトランジスタが登場、現在のIT革命につながっていくわけです。そして、その次は何かといえば、量子技術であり、その根幹の一つである超伝導というわけです。
しかし超伝導というと、量子コンピュータにおける最初の苦労人というイメージがあるのではないでしょうか。それはあくまでも「過去の超伝導知識」だといわざるを得ません。
量子コンピュータは、ただの情報処理機械ではなく実際の物質解析や、この世に遍く存在する現象に対して深い洞察を与えてくれるとみられています。
これはいまのコンピュータが持っている能力とは異なるものであり、その発展が予測するところは、「材料開発」「バイオテクノロジー」「宇宙開発」などです。
超伝導とその可能性について解説してきましたが、その理論的背景についてはまだ解説していません。
超伝導を最も特徴付ける現象といえばゼロ抵抗、マイスナー効果、完全反磁性です。これらは、超伝導を引き起こす「超伝導物質」の原子構造から生み出されるもので、一般的にはs波超伝導などといわれています。
上記の記事では、転移温度について解説されていますが、超伝導体はある温度において突然電気抵抗がゼロになります。
これは超伝導現象といわれるものですが、もっと踏み込んで言うと「超伝導相への相転移」とも言えます。
この超伝導相は、いわゆる液体や固体など物質の相に匹敵するもので、物質の状態そのものが超伝導状態という新しい相にかわることが超伝導現象と言う訳です。
超伝導現象は巨視的量子効果ともいわれることがあり、電子のエネルギー準位がすべて一つの準位に落ち込むボースアインシュタイン凝縮(BEC)が起こることで発現します。
通常、パウリの排他律によってフェルミ粒子である電子は2つ以上1準位に入ることはありませんが、BECにおいては1準位に何個でも入ることができるようになります。
なぜかといえば、BECによって電子がフェルミ粒子からボース粒子的振る舞いをするようになるからです。
このボース粒子化は電子が2つペアになることで起き、このペアをクーパーペアと呼んでいます。
クーパーペアは、それ一つでボース粒子とみなせる準粒子であり、現在では研究が進み以下のような場合、まったく新しい超伝導への知見がみられることが示唆されています。
これは初期のロンドン方程式・GL理論から量子力学考慮・BCS理論をベースにし展開されており、高温超電導体や新奇性超伝導に対しての新理論からの提案です。
超伝導は量子コンピューターの実現に欠かせませんが、今ではいろいろな方式でそれを実現させようと競争が激化しています。そのプレーヤーは、米国、中国、欧州が顕著で、GAFAMの存在も大きいです。
現在声高に叫ばれているデジタルトランスフォーメーションですが、これは飽くまでも半導体レベルの話で、次なる量子的特性による制御が迎えるコンピューター時代は、まったくコンピューターの扱い方も変わるのではないかと考えています。
そこで、今後100年以上にわたる時代において何がキーになってくるのかといえば、テクノロジーと規制だと考えています。規制といってもそのテクノロジーを何のために使うかという広義な枠組みであり、そこにたいするコンセンサスの集いようが、かなり重要になってくると考えています。言い換えれば、そのテクノロジーを何に使うのかです。そして、その目的次第でいろいろ変わるわけですが、その中でもベストなものが、いかに自由を感じられるかというところなのではないか?と言う訳です。
当然、そのいかに自由を感じれるのか?を求める最中にとんでもない事件や事故が起こることはあるかもしれません。しかし、その事件や事故が起きたとして、それはほとんどの場合テクノロジーの利用方法が原因だったりしますが、別段特別な何かを手に入れるためにテックを利用するというわけではない気がしています。
テックが進化しても、最終的には自由を感じれればいいというのが、その目的なのではないかと思っています。