白い小指大の生き物は、うねうねと這って俺に近付いて来ると、むくっと身体を伸縮させて、あっという間に俺の右肩に乗ってしまった。
こ、これってかなり大きいけどあれだよな?こいつは、蠅の幼虫に違いないよな。ま、いっか。
「なんか、距離感が異常に近い奴だな。お前が俺の創造した使い魔、人造人間《ホムンクルス)》でいいんだよな?まあ、そもそも俺の言葉が判るのかが問題だが」
『ムガット』
「うん、なんか頷いて鳴いたみたいだが。それがお前の返事なら、いいだろう。そうだなお前の名前は、ムガットでいいな?」
『ムガット、ムガット』
うん、こいつは。ま、鳴き声から付けた安直な名前だが、なんか嬉しそうな感じで本人が気に入ってるようなので良しとしようか、いいだろうこのくらい世の中単純に出来ていても。この小指大の白い生物が、俺の初めて創造した俺専用の使い魔、人造人間ムガットだ。
「・・・・・・ そう、それが竜さんの人造人間なのね。もっと大きな人造人間を予想していたけど、例えば下僕一号に似た少女型や猫や犬のような動物型をね。まさか昆虫形態を使い魔にするとは思わなかったわね」
「あ、ネコさん。ようやく出来たよ。こいつが俺の人造人間、ムガットだ。おい、ムガットこちらは俺が世話になっているネコさんだ。お前の誕生に際して色々とアドバイスをもらったんだぞ」
『ムガット』
ムガットがネコさんに軽い会釈と共に例の鳴き声をあげた。
「よろしくね、ムガット。では、あなたには早速、竜さんの魔導制御の手伝いをしてもらうわね。最初は失敗して上手く出来ないかも知れないけれど、気にせずに練習すれば大丈夫きっとうまく出来るようになるわ」
「そうだな、ムガットよろしく頼むぞ。ネコさんの特訓は厳しいから根を上げるんじゃないぞ」
『ムガット』
よし、ネコさんの登場でムガットもやる気十分なようだし。やってやるぜ!
「では、この月の石から円盤を作って表面を砂を使って磨いてちょうだい。そうね土の魔導と風の魔導を使って。私の綺麗な顔が映り込むくらいしっかりとね」
「うへぇ、土と風の併用か。あれも面倒くさいんだよな」
俺は、まず月の石を上から押し潰すように魔導を叩きつけて、薄い板状に加工した。そして月の砂を風で石の板の周りで舞わせると形状を円盤に変化させつつ、荒い砂粒から次第に細かい砂粒を使って研磨していった。
もうそろそろ、良いだろう。
「よし、ムガット作業終了だ」
『ムガット』
がちゃん、空中に浮いて風の渦の中で回転していた円盤がいきなり岩の上に叩きつけられた。折角鏡のように研磨されていた円盤は、岩にぶつかった所がいびつに凹んでいた。
「ああーあ」
『ムガットっ』
「ふう、急にすべての制御を手放すとどうなるか今ので解っただろう?心配するな、またやり直せばいいだけだ。もう一度やるぞ、今度は気を抜くなよムガット!」
二、三度練習を繰り返すうちに、ムガットの魔導支援も上達して俺の思い通りの魔導行使が今までよりも楽に、正確に出来るようになった。
「よし、次は炎と氷の魔導を試して見るか」
『ムガット』
結論からいうと、人造人間ムガットは優秀だった。最初の頃は経験の浅さから失敗することも多かったがすぐに失敗から学び取って経験を活かせるようになっていった。
あとは、ムガットの姿を他人から隠せると嬉しいんだがなあ。特に飲食関係の店では見つかるとマズイからなあ。
「あるわよ、方法なら。ムガットちゃんを光の魔導を使って姿を消しちゃえばいいのよ。手本を見せるから、あとは練習してね」
え?そう言うと、ネコさんの姿が掻き消えていまった。
「今ので判ったか、ムガット?」
『ムガット』
おう、ムガットの白い身体が半透明になっている。これは、隠蔽魔導の習得も早そうだな。
======================================優秀な使い魔を獲得して・・・・・・ 新たなステージに?
タイトル詐欺?仮想通貨にスキャムは付き物ですよ、虫の苦手な方には申し訳ないw
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