きらびやかな街だった。壮大な尖塔や荘厳な宮殿が立ち並び、夜も煌々と明かりが消えることはなかった。その街がいつ生まれたのか誰も知らない、とても綺麗な街だった。
人々は、ここをKの街と呼んだ。
元々の住民や街の主だった者たちが頑強にクレアパレスだと言い続け、そして死に絶えたため、この街の名はKの街となった。ただ、それだけ。
酒場は喧騒を極めていた。大勢の客が思い思いの酒を飲みながら、中央で踊る踊り子の露出された胸元とか、艶めかしい足に欲望を募らせながら。
踊り子の汗さえ降りかかるほどの近さにある、酒場の特等席と言える場所で美しい女たちに囲まれてKは飲んでいた。その周りには、グループ杖《ワンド》のメンバーが固めていた。
「ふおっほーい。俺の野望がハーレムがようやく達成されたか。いや、まだまだもっと美女を集めて最強のハーレムを目指すぞ」
「うぉー、K様万歳!」
ハーレムが大きく成れば自分におこぼれが回ってくるので、グループ杖のメンバーも気勢を上げて追従する。
『ソローンの造り手』はブレスレットの反応に気付いて、にやりと笑みをこぼした。
「ネコ、なんだか面白そうな街があるじゃないか。それに、桁違いの魔力を持った者もいるようだな?」
「マスタ、最近クレアパレスが何者かに占拠され名前を変えたようです。しかも、以前よりも活気を呈しているようです、当社比一五0パーセントの上昇を示しています。経済的には放置が得策かと」
ふむ、だがあの魔力の高まりは気になるな。
「うーむ、何もしないのもなんだし。偵察にセーレでもやっておくか。あいつなら万が一失っても困らないしな」
「マスタ、念のためロノヴェをお目付けにした方が良いと思います。あれで上級魔族、滅多なことではやられはしないでしょう」
「そうか、まあロノヴェもストレス溜まっていそうだから、やらせてみるか」
「て、ことでソローン、元クレアパレスの偵察にセーレと監視役でロノヴェを行かせてくれ。指示を与えた後はお前は館で待機だ。ここで、情報の分析を行え」
「わかりました、マスター。でも、なんだか嫌な予感がします」
「ソローン、変なフラグを立てるでない」
「失礼しました、マスター」
「えー、また損な役回りが吾輩に降りかかって来るのか。吾輩ほど不幸せな星の元に生まれた者などおらぬわ。この前も格下の魔族の下に付けられて命令に従ったら、敗戦の責任だけ負わされるとか、いつもいつも吾輩だけが・・・
ご主人様拝命仕りました」
いつまでもぶつぶつと愚痴るセーレだが、ソローンに断熱の眼差しを向けられていると気付くや、すぐさま手のひらを返したように従順な振りをする。
「こんな役立たずな、下級魔族など使わずとも、わたし一人で十分なものを。しっかりとこ奴が働くよう監視してまいりますでございます、ご主人様」
「わかったなら、もう行け。私と『ソローンの造り手』様が見ていることを忘れるでないぞ!」
「ははあ」
「わかりましたでございます」
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いつも御愛読ありがとうございます。
一応本作は100話以上を予定していますので、もうしばらくお付き合い願えたら幸いです。
それにしても、タブレット使っても表現力の無いイラスト力はどないかならへんもんやろか?!
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