(これほどまでの強大な力が銀河の中心にあったというの、ここは竜さんに頑張ってもらって是が否にでも手に入れたいものね・・・・・・)
俺は追い詰められた、先攻の富の女神エンドロ・ペニーが最高の六を出したからだ。とりあえず、六を出せなければ俺は負ける。
それよりも、あんなデカいサイコロをそもそも振れるのか?地球サイズのサイコロとか半端ない。
「ええい、ままよ。来い、 武器《スィラーフ》鎧《ディルア》 !」
俺は、黄金の鎧と黄金の劔の融合、スィラーフ・ディルアを召喚すると気合で通常の八メートルを大幅に超える巨体に変えた。
黄金の右腕が巨大なサイコロを転がす。
運命のサイコロが転がった、その出目は?
六の目が上を向いていた。
「へっ、これで振り出しだな。俺も六を出したぜ、アン!」
「だから、どこの酒場の女よそれ。毎度このやり取りをするのもこれまでね、この勝負に負けたらあなたは原始の塵に還るのだから。
はあー!」
エンドロ・ペニーが投げた地球大のサイコロは、またしても出目が六だった。
(ふふん、何度やっても同じことよ。女神である私に掛かれば、例え惑星サイズのサイコロだろうと出目を操作することなど容易いことよ。
でも竜、あなたはどうかしらね。一日なら可能よね、もしかしたら三日も可能かもしれない。だけど、一週間、一年となるとただの人間のあなたには無理だわ。
富の女神である私には何でもないことだけどね、例え百年、一万年、いいえ永遠に闘い勝つことができるわ)
な、なんだ?この嫌なプレッシャーは、しかし俺が闘っているのは腐っても富の女神だ。生半可なことでは勝てないかも知れない。それに、あいつは自信満々に勝負を吹っ掛けて来た。これは、何かあるな。
「おい、ところでアン。さっき勝負に負けたら塵に還るとか言っていたが、そんな物賭けた覚えは無いんだがな。
だったら、俺が勝った暁には何が貰えるんだ?俺も商売人の端くれ、己の利に成らぬ勝負を続ける意味が無いからな?」
俺は、とりあえず富の女神に揺さぶりを掛けて見た。
「だから、アンって誰なのさ?あんまり、天丼していても仕方ないから放っといて。 まあ、我が僕として銀河で商売を始めたあんたが今後も僕としてやっていけるのか上司として部下の査定をしているところよ」
「ほお。ならば俺が勝ったらボーナスが貰えるのかな?」
「そうね、万が一。いいえ、兆が一乱導竜、あんたが私に勝利するようなことがあればご褒美に、そうねこの天の川銀河とあともう一つ希望の銀河をあんたの支配下に置いて引き続き私の下僕としてこき使ってあげるわ。
だけど、負けたらあんたは用無し。悪の組織の敗北した幹部たちの様に塵に還して新たな下僕の種に成って貰うわ。概ね三八億年くらいウイルスとして進化を目指して蠢くことになるわね。ふふ、楽しみね。次の下僕が現れるのが」
「ふっ、そんな決まってもいないうちから勝利宣言とか。負けたら大恥だぜ。引き分けの条件も作った方が無難じゃないのか?」
兎に角、俺に有利な条件が設定できないか驕り昂っているエンドロ・ペニーを挑発してみた。
「ほほ、この世にいまだ未練か。まあ、往生際の悪いこと。そうねえ、有り得ないとは思うけど。百回投げてお互いの賽の目が同じだったら、引き分けにしてあげても良くてよ。その場合は、この天の川銀河で場所馬の如く使役してあげるわ」
「ふん。だが、引き分けでなく勝ってもいいのだろ?」
「・・・・・・ そろそろ御託も聞き飽きたわね。竜、さっさと賽を振りなさい!」
エンドロ・ペニーの後ろで突如起こった超新星爆発が彼女の怒りを表現していた。