"Algorithms to Live by: The Computer Science of Human Decisions
"タイトルを直訳すると「生きるためのアルゴリズム:人間の意思決定のコンピュータサイエンス」
この記事は僕が上にあげた本の内容のまとめです。人間が生きていくうえで役に立つかもしれない意思決定アルゴリズムが記載された本です。
邦訳もあるようなので末尾にアマゾンのURLを載せておきます、気になる方はぜひ。
第一章は「最適停止問題」です。
Secretary problem(秘書問題)を知っていますでしょうか?
あなたは秘書を一人採用したいと思っています、もし100人の秘書が採用面接に来たとします。あなたは1人1人順番に秘書候補と面接をして各面接の終わりにその秘書を採用するかどうか決めるとします。一度不採用とした秘書は二度と採用できません。さて、あなたはどのように秘書を採用すれば最も優秀な秘書を採用することができるでしょうか?
この問題において最も優秀な秘書を選ぶ方法はなんと数学的に解明できます。
まず最初の37%の秘書を面接はするが採用はしないというルールでただ見ていきます。37%の候補者の面接が終わったら、次の面接からは最初の37%の中で一番良かった秘書よりもいい秘書が出てきたら即刻採用します。
面白いことに、この解放におけるあなたが最も優秀な秘書を採用できる確率は候補者数を増やせば増やすほど、最初に採用しないと決めて評価をするだけの37%という値に収束していきます。
もちろん現代では面接は全員評価してから、その中で一番優秀な人を選べるのでこの秘書問題が適するかはだいぶ怪しいですが、このアルゴリズムはそういったやり直しがきかない時間経過における最適停止問題ではよく応用できるかもしれません。
例えば最適な結婚相手探し(この場合候補者数はわからないので結婚適齢期のうち最初の37%の時期をやり過ごしてみる)やガソリンを補充するためにどのガソリンスタンドを選ぶか(この場合ガソリンスタンドを選ぶみちのりの距離の最初37%を評価のみに使う、ただし一度通り過ぎたガソリンスタンドに引き返すのは十分に面倒くさいのでやらない)などが考えられます。
これ以外にも駐車においてどのスペースに止めるかなどのバリエーションもありますがこの場合良い駐車スペースが目的地に近いものとわかっているので遠く一定の割合の駐車スペースを無視して、ある一定の距離からは空いていたらそこに止めるという方法で最適停止ができるようです。この時の最適解をえらぶ確率は秘書問題と違い、評価は悪いほうから良いほうに並べられていて、あとは駐車スペースがないところまで無視してしまうというリスクとの闘いなので秘書問題よりも少し高い確率に収束します。
今回の最適停止問題でもわかるように科学においては現象を十分に説明できる上に人間の脳で理解できるくらい単純なモデルの設計というのがとても大事になっています。秘書問題でも秘書の能力の評価がそんな一意にそして完璧にできるかは疑問が残ります。しかし、こういったモデルによってランダムよりは確実に良い成績が見られていることは科学的なものの見方の力を感じますね。
次回は「探索/活用」についてになると思います、更新日は未定です。