タイのパンガン島に滞在して一月ほど経った頃、僕の地元大阪の数少ない友人であり、気功師でエネルギーヒーラーでもある友人のKちゃんが遊びに来た。
彼女とは2年前にタイ北部の街チェンダオの近くである日本人主催のヒッピーフェスティバル、シャンバラまつりで出会って以来懇意にしている。
僕は彼女の事が恋愛感情も含めて好きで、彼女もその事を知っているのだが、それは大きな宇宙的な愛でもあるので、それぞれに彼氏彼女が居ようと居まいと気にせずに友達として遊んでいる。
彼女はタイの北の街チェンマイに用事があって、タイに来たついでにコパンガンに10日ほど寄った感じ。
うちの家にも何日か泊まっていって、一緒に遊びに行ったり、ご飯を食べに行ったりした。
何日か後には満月だから、なにかセレモニーをしようという話になってたんだけど、当日になって彼女の気が変わり、やっぱりやめるということに。僕も月子さんも別にそこに執着はないので、じゃあそれならそれでいいよと。
当日、満月の夜、僕たちはバルコニーで話し込んでいたんだけど、月子さんが ”外に出ると月がもっと見えるよ” と。
月子さんはちょっと玄関前に出るだけのつもりだったらしいのだけど、僕は散歩にいくものだと勘違いして、じゃあキャンプマットとハンドパンを持っていくよと。
Kちゃんは "じゃあ、私は温かい服も持っていこうかな” と。
それを聞いて月子さんは、"あれ、そんな感じでいくの? じゃあ、私はあれとこれを持って” と。
それを聞いて僕は、じゃあせっかくだからこれの準備もするよなんて感じで、勘違いから発生した散歩は姿を変えて、結局本来の予定通りのフルムーンセレモニーをすることに。
3人共、この突然の流れの変更に何らかの宇宙の意志を感じていた。
僕たちは3人共、こういうエネルギーでの遊びが大好きだ。
特にそれが予定していないのに起こった場合は宇宙的な意志を感じるので、より気分が盛り上がる。
今になって思えば、こんなエネルギーの強い3人が集まって何も起こらないはずがない。
まずは裏庭のジャングルを歩き回り、いい気が満ちている場所を見つける。
3つの蚊取り線香を三角に配置し、蚊よけの魔法陣を描く。
お香を炊いて、雰囲気を出し、僕が満月の美しさに合わせてハンドパンを演奏する。
その後、僕が持っていたグアテマラ産のセレモニー用のカカオを食べて、カカオスピリットを呼び込んだ。
カカオセレモニーというものを聞いたことがあるだろうか?
カカオってあのチョコレートの?
そうです、あのカカオなんだけど、でもセレモニー用のカカオは一般的なチョコレートとは似て非なるもの。
このカカオはグアテマラのアティトラン湖という火山湖のそばにある聖地サンマルコスという村からやって来たもの。
ここにキースというイギリス人のヒッピーのおじいさんが住んでいるんだけど、ある日彼は夢の中でカカオセレモニーをしなさいというお告げを聞く。
不思議な夢を見て気になった彼は、今まで聞いたこともないカカオセレモニーについての過去の文献を調べ始める。
その中でわかったのは、太古の時代にマヤ文明の中でカカオセレモニーと言うものが行われていたものの、そして時代の流れとともに失われてしまったということ。
その後、彼はまたカカオの精霊から何処そこの国の、何処そこのマーケットの、どのお店のカカオを買いなさいと言うお告げを受け取り、精霊の導くままに中米各地を旅してカカオを買い集めセレモニーの準備をする。
そのカカオ豆を低温で焙煎することにより、有効成分をそのまま保存して摂取できるようにした。
通常のチョコレートは皮を剥くために高温で焙煎するので、有効成分が死んでしまうため、カカオセレモニーの目的である精神賦活作用が大幅に減退される。
そうやって集められ特殊処理されたカカオを約45グラムもの大量飲用することにより、その有効成分により変性意識状態になり、心を開いて霊性を高めようとするのがカカオセレモニー。
カカオの有効成分を摂取するとハートチャクラが開く。それは心臓が活発に動くことを意味するし、また心が開放的になることも意味する。
カカオセレモニーでよく行われるのが心を開いた状態で人と話し合ったり、目を見つめ合ったりなどして、人との繋がりを活発化させることだ。
僕たちは、しばらくカカオの効能を楽しみながら深く話し込んだ。人生について、愛について、仕事について、スピリチュアリティーについて。
お互いにより深く繋がれたことを喜びあった。
その後、Kちゃんがブラジルでのシャーマン修行から持ち帰ってきたハペ(ラペ)で浄化の儀式を行うことにした。
このハペというのはアマゾンのシャーマンたちには結構一般的なもので、シャーマニックなことが好きな旅人の間で知られつつある。
煙草の葉やアヤワスカの蔓や薬用効果のあるハーブなどを乾燥させて粉状にしたもの。
その体にとっては毒とも言えるような物を鼻の穴に吹き込んで粘膜に付着させることで、体の解毒作用を活性化して体と意識を浄化させるのだ。
このハペは通常大きなセレモニーの前準備、前座として用いられる。
でも、今回はこのハペがメインになる。
僕はこの手のセレモニーには多く参加していて、経験上自分の体は普通の人よりも何倍も繊細で少量で効果があるので、半分以下にしてほしいと伝えていたのだが、手違いでちょっと多めに準備された。
僕は体が大きく髭面で旅の経験が豊富なことから、相手の勝手なイメージで多めに盛られることが多い。
相手なりのリスペクトとサービスの表現なのだろうが、正直いい迷惑だ。
僕はちょっと多すぎるようにも思ったけど、もうこれは流れだから乗るしか仕方がないなと思い、”ゲロを吐いて、うんこを漏らすかもしれないけど受け入れます” と宣言した。
厳粛な雰囲気の中、Kちゃんが祈りを捧げる。
エネルギーを降ろしてくる様な動作の後竹筒を僕の鼻に刺し勢い良くハペを吹き入れる。
その瞬間、脳みそが爆発するようなシャープな衝撃!!
その直後に反対の鼻にも吹き入れられる。またしても強烈な刺激!!!
脳幹が痺れ、強制的に今この瞬間の全身の感覚に連れてこられる。刺激が強烈過ぎて何も出来ない。
とりあえずそのままキャンプマットの上に倒れ込む。ハペの毒素が体中をめぐる。
からだは痺れ、強烈な吐き気が襲ってくる。
先程の宣言通りにことが運んでいく。。。
とんでもなく苦しい解毒作用とそれへの反応が続く。
泣き、喚き、叫び、嗚咽し、耳と尿道以外のすべての体の穴から全てのものを吐き出し、苦しみに身動き出来ないまま解毒作用に身を任せる。
この先は、かなりボロボロで汚い話になるので書くことを自粛します。。。
4時間か5時間ほど、排毒作用が続き、散々な苦しみの中、夜が明けてセレモニーは解散。
僕はやっと身動きが取れるようになり、部屋に戻ってベッドで休む。
今後もう2度と何かを摂取するようなセレモニーに参加しないことを自分に誓いながら眠りに落ちる。
似たような話はいくつかあって、その度に僕のシャーマニックセレモニーの選択肢が狭まっていく。
僕は人生の生き方として、宇宙の流れに乗ることをモットーとしていて、人生の中に流れやシンクロニシティーを見て取ると、それが全く理にかなっていなくても、それを選択するようにしている。
理屈ではない旅人の美学のような物を見ているのだ。
今回はそういう流れの中でハペを取ったのだけど、もう懲り懲り。
でも、さすがにこれだけ深いデトックスをしたあとは、体も心もスッキリし、余計なものに対する欲求がほとんどなくなった。
もうでも、この手のものはマジで懲り懲り。
つづく。。。
次回は、パートナーの月子さんとの喧嘩がこじれて、溜まっていったストレスを切っ掛けにしてぎっくり腰になる話。
(この記事は2017年4月9日に自身のブログに投稿した物を加筆修正してアリスに再投稿したものです。)
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