たくさんの人に使ってもらう・見てもらうために無料でサービスを提供する対価として、広告で収益を上げるビジネスモデルが広く普及してきた。テレビの時代からそうだったが、ウェブサービスでは広告表示を最適化するために、ユーザーのプライバシーに関わる情報を広く厳密に収集する。そしてサービスを運営する企業はビッグデータを有する中央集権と化していく。
これに対して、ブロックチェーンの非中央集権プラットフォームでは、ユーザーが何かをする度、特に能動的な行為に対しては、たいていコストが必要になる。ただし、ユーザーが価値があると思うもの、応援したい対象への投資なら、投資される側だけでなく投資した側も利益を授かる可能性がある。要は投げ銭し合うような形でコミュニティが維持される。そこに広告による収益モデルはなくてもよい。
非中央集権プラットフォームの開発者も、自分たちのプラットフォームが広く使われ、その上で流通する通貨の価値が上がるか、広く使われ経済圏になれば大きなリターンがある。だから彼らも広告による収益モデルを構築しなくてもよい。
一企業が個人データを収集することのプライバシー問題は以前から言われていることであるが、正直、実害を感じているユーザーは、騒がれてる割には多くないだろう。ただし、広告を邪魔に思うユーザーはたくさんいるはずだ。だから広告がなく、かつ金銭リターンを得られる可能性があるということは、ユーザーが非中央集権プラットフォームを支持する動機づけになるだろう。
非中央集権プラットフォームは、昨今のミニマリズムやモノ消費からコト消費の流れとも相性が良い。テレビの無料視聴の対価としての広告ビジネスが消費社会型の経済モデルを作ってきた。しかし、広告を目にする機会が減り、自分がコミュニティにコミットすることでリターンがある経済モデルへシフトすれば、人々は消費活動より生産活動に勤しむようになるだろう。