仮想通貨プラットフォームの普及と実用の最重要課題は、やっぱりトランザクションの高速化ではないか。どれだけ多くの人がネットワークに参加してもトランザクションが1秒で終わるようになれば世界は変わる。
1996年当時のインターネット黎明期に私は初めてインターネットに接続した。数ヶ月、個人のウェブサイトを見て回り、世間では騒がれてるけど流行らないと思った。理由は遅いからだった。モデム接続も遅いし画像の表示も遅い。その上たいして見る価値があるようなウェブサイトもない。お金を払うのが馬鹿らしくなってプロバイダーとの契約を解除した。
しかしその後数年でインターネットは高速化し、誰でも簡単に接続できるようになり急速に普及し、様々なウェブサイトが作られ世界を変えた。速度=革命の法則は仮想通貨にも当てはまるように思う。
もしトランザクションが常時1秒以内で終わるようになれば、あらゆる場面でユーザーはほぼ無意識に仮想通貨を消費できるようになる。たとえばアプリで機能を使うたびに1円以下の仮想通貨を開発者に送金することもできるだろう。いわゆる従量課金であるが1回の使用料金が極めて少額であれば、ユーザーはあまり課金していることを意識しなくなるだろう。電気、ガス、水道といった光熱費のような感覚になる。いまさらながらイーサリアムのトランザクションの手数料をガス(燃料)と命名したのは秀逸だと思う。
開発者は少額の使用料の集積で十分収益を得られるようになれば、ウェブやアプリに蔓延している広告は消えるだろう。また広告に頼らない光熱費のような収益モデルが普及するとイノベーションも加速するはずだ。
IoTやウェアラブルという言葉を耳にするようになって久しいが、思ったほど画期的な製品が次々出てくるわけでもなく、それほど一般には普及していない。これは収益モデルを作りにくいことも一因であると思う。時計型デバイスのような小さい領域に広告を表示することは難しいし、そもそもモニターがないデバイスもある。しかし、光熱費を払うような形で開発者に還元される収益モデルを誰もが簡単に利用できるようになれば、この問題は解決する。
仮想通貨のトランザクションが極限まで高速化されれば新しい世界が切り開かれる。インターネットが高速化して世界を変えたように。というわけで、仮想通貨プラットフォームの最重要課題はトランザクションの高速化かなと思った次第です。