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瞑想日記17 瞑想を始めるきっかけ(前編)

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  • 空猫(旧 elm13)
  • 2020/03/11 07:13

9年前の3月11日、当時はカンボジアで生活していました。

ラタナキリというカンボジアの山岳部の町に住んでいました。

そこを拠点に、毎月ジャライ族という民族の村に遠征して、そこで一週間くらい暮らすという生活リズムでした。

(以前の記事でジャライ族について書いています)

 

そんな生活が終盤に差し掛かった2011年3月11日、何気なくBBCのニュースをみると、ものすごい津波の映像が流れていました。

最初はその映像をみても、実際に当時の日本で起こっているとい現実感がすぐには湧きませんでした。

家や車が濁流に飲み込まれているという、あまりにも現実離れしている映像でした。

ものすごい衝撃を受けたのをおぼえています。

 

3月いっぱいでカンボジアでの仕事がひと区切りついて、日本に帰国しました。

そして震災のあった東北に行って、数ヶ月ボランティア活動をしました。

岩手県の遠野の体育館で集団生活をしながら、毎朝バスで釜石市の箱崎という小さな町まで行って瓦礫除去をする日々。

 

その中で印象に残っている体験は用水路の瓦礫除去です。

その地域は多くの家が土台ごと流され、大変な被害を受けた地域です。

用水路には様々な家財道具や、ありとあらゆるものが詰まっていました。

日々用水路に入って、そこにある瓦礫を取り除きます。

掃除機がでてきたり、便器が出てきたり、古いビデオコレクションが出てきたり、なぜかファミコン本体がでてきたり、なんでもありです。

ある日大きな金庫が出てきました。金庫の鍵は閉まっていて、当時被災地に滞在していた自衛隊の人に金庫を預けました。

あとから聞いたのですが、その金庫には400万円が入っていたそうです。

そんな用水路の瓦礫除去をグループでしばらく続けているうちに、かなり用水路がきれいになってきて、水の流れが復活してきました。

そしてある時、用水路の水の流れの中にサンショウウオを発見しました。

自分にとっては、そのサンショウウオが復興の象徴のように感じました。

 

もう一つ記憶に残っている体験は、箱崎よりさらに奥の仮宿という地域で、津波で流されてしまった小さな神社の鳥居を元に戻したことです。

海沿いにあるその神社は、おそらくは漁の無事などを願って地元の人々が建てたものだと思います。

鳥居も木製で比較的小さく、大人数で頑張れば人間の手で運べるものでした。

その鳥居を神輿を担ぐようにみんなで元の場所まで運んで立てました。

その時はなんだかすごくいいことをしたような気持ちになりました。

当時は今と違って神社にはあまり興味がなかったのですが、とても印象に残っています。

 

ボランティア期間中は、遠野の体育館に寝袋を持ち込んでみんなで雑魚寝する共同生活でした。

あまり人付き合いが器用ではない自分ですが、この時期は本当に色々なタイプの人たちと触れ合う機会になりました。

仕事を辞めてボランティアに来た人、画家の人、水商売の人、お坊さん、旅人、傭兵、パチプロの人、学校の先生などなど、毎日色々な人とご飯を食べたりして、濃厚な時間を過ごしていました。

世の中にはいろんな経験をしている人がいるなあと驚かされる日々。

それまでのカンボジアの山岳民族との関わりとは全く違う種類の刺激を受けることができました。

 

カンボジアでの生活、そして被災地ボランティア、この期間に自分の中で多くのものが書き換えられていきました。

書き換えられたというよりは、今まで持っていた価値観や観念みたいなものがすっかり洗い流されていった感じの方が近いかもしれません。

それ以前は、自分探しみたいなテーマがあり、国際協力の分野で頑張りたいとかそういうモチベーションがありました。

ですが、

ジャライ族の人たちとの関わりでアニミズム的世界観の中に身を置くことで、人間が作り上げた人間と人間以外のもの(自然など)にある境界の儚さを感じ、

震災現場をみることで、人々が造りあげたものやシステムの儚さを感じ、

ボランティア仲間との関わりの中で、人々との関わりの中で生じる、個別のアイデンティティ、差異、比較、優劣の儚さを感じ、

しだいに、

自分のアイデンティティや価値観を構築したりすることへの興味がなくなっていきました。

いわゆる自分探しみたいなものを目指していたのが、そんなものはどうでもよくなり、

ただただシンプルになって、瞬間瞬間を楽しむことだけに興味が向くようになりました。

(後編に続きます😊)

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いろんな場所を無為に旅するのが好きです。旅先で出会う自然や猫たちに癒されています。

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