某踊る刑事ドラマ等では、事件が発生すると警察本部の刑事が警察署にズカズカと入ってきて
「この事件は我々が担当します。所轄は黙って従って下さい。」
みたいな態度を取っています。
果たして本当に警察本部の刑事はそのような態度なのでしょうか?
そして、本当に警察署の人達は警察本部の刑事を裏で
「なんだよあいつら!」
と避けているのでしょうか?
現場叩き上げで警察本部の警察官になった、元警察本部刑事の私だからこその本音をお教えします。
そもそも警察本部警察官になれる人が少ないので、現職警察官の多くが知らない情報です。
この記事を見る事で貴方は、刑事ドラマと現実を知る事が出来ます。
そのことによって、今日から刑事ドラマの見え方が変わるかもしれません!
皆に
「知ってる?本当は・・・」
と自慢話ができるようになるかもしれません。
そこで今回の内容は次の3点。
◎、刑事ドラマの警察本部警察官はキャリア組
◎、警察署から見た警察本部刑事
◎、警察本部刑事からみた警察署警察官
では、現職の警察官でも知らない、警察本部と警察署の本音の部分を一緒に見て行きましょう!
結論:『警察本部の警察官もノンキャリア』
「警察本部警察官と警察署警察官がお互いをどのように思っているのか?」
を見て行く前に一つ知っておいて欲しい予備知識があります。
それは、警察官は2種類存在していると言う事です。
いわゆる
『キャリア組』
と
『ノンキャリア組』
です。
キャリア組とは国家公務員試験に合格した国の官僚(かんりょう)のことです。
そのため、キャリア組を呼ぶ時は
『警察官』
ではなく、
『警察官僚』
と分けて呼びます。
警視庁は知らないのですが、県警では警察本部の中でも上級幹部でしか見る機会はほぼありません。
一方のノンキャリア組とは、地方公務員試験に合格した都道府県の公務員の事です。
そのため、
『警察官』
と言ったら、こちらのノンキャリア組の警察官を指すのが一般的です。
ここまでが知っておいて欲しい予備知識になります。
その上で、刑事ドラマを見てみましょう。
警察署にズカズカと入ってきて横柄な態度を取っている警察本部の刑事達。
彼らの多くはキャリア組として描かれる事が多いです。
某踊る刑事ドラマの室井さんもキャリア組でしたよね。
しかし、予備知識で言った事を思い出して下さい。
『キャリア組は警察本部の中でも上級幹部でしか見る事がない』
そうなんです。
現実でキャリア組は、そもそも現場に出て来るような人達じゃないんです。
警察本部刑事だった私も、就任挨拶で一度見たことがあるだけです。
そのくらいのレアキャラがキャリア組です。
刑事ドラマのように頻繁に遭遇することはあり得ません。
これらの言い方からも分かるように、
『警察本部の警察官もノンキャリア組』
なんです。
私もノンキャリア組で、警察学校を卒業し、交番から始まりました。
その後、現場での実績が警察本部幹部の目に止まり、署長や上司の推薦を受け、本部に引き抜かれる形で警察本部に異動となりました。
このように実際は、警察本部の警察官も元々は交番から始まっている、普通のノンキャリア警察官なんですね。
すでに刑事ドラマへのイメージが変わり始めたのではないでしょうか?
ではこれを踏まえて、警察本部警察官と警察署警察官はお互いにどう思っているのかを見て行きましょう!
結論:『怖くて話掛けられない』
警察署警察官も警察本部刑事がノンキャリアで、元々交番から始まっている事は知っています。
しかし、現場で会うと話掛ける事は出来ません。
何故か?
怖いから。
警察本部刑事に限らず、警察官の多くは刑事に怖いイメージを持っています。
そのため、特に地域課の警察官は現場で警察本部刑事に会うと遠巻きにするだけで、自分から話掛けることは絶対にしません。
もしも、向こうから話掛けてきたら緊張して
「は、はい!?なんでしょうか?」
とガチガチに緊張します。
これは私も交番時代にはそうでした。
ただ私の場合は怖いからよりも
「自分程度の者が下手に手を出したら足手まといになるから」
が理由でした。
先ほどから言っているように彼らは、血のにじむような努力の結果、それが認められて警察本部刑事になっているんです。
そのため、警察署の警察官よりも能力が高いですし、仕事への向き合い方がとても真剣です。
刑事ドラマで出て来るような無能な刑事ではないんですね。
そして、能力が低い者が下手に手を出すと証拠を破損したり、最悪犯人に逃げられたりします。
だから手伝いや、声を掛けることすらできなかったんですね。
あのにじみ出る迫力は何なのか?
今でも分かりません。
このように、警察署警察官からすると警察本部刑事は声を掛ける事も躊躇するような存在です。
もっとも、中には刑事ドラマのイメージに引っ張られ続けており
「なんだよ。警察本部ってだけで偉そうに!」
とグチグチ言っている人も極少数います。
もちろん、現職の警察官になっても刑事ドラマのイメージに引っ張られ続けているような人なので、仕事っぷりは・・・ご想像にお任せします。
結論:『避けられていて寂しい』
現場で会うと話掛けることも出来ない存在だった警察本部刑事。
いざ自分がなると、当然普通でした。
人も普通に会話できる、普通の人達。
なんなら私は可愛がられた方なので、パワハラを受けていた警察署時代よりも遥かに楽しかったくらいです。
(パワハラについてはいつか記事に書くかもしれません)
私は警察署経験約3年半(まだ新人警察官の域)で、警察本部刑事部に異動となりました。
異動部署では殺人等の重罪を専門で扱っていました。
すると現場に行く度に視線が痛い。
近所の野次馬や遠くから撮影しているテレビカメラ。
そして、遠巻きに見ている警察署の警察官。
警察署警察官に対して私は
[私は普通ですよ!数ヶ月前までは皆さんと同じ警察署の警察官でした!]
と心で思っていました。
自分が警察署時代に本部の刑事に話掛ける事が出来なかった経験が強く心に引っ掛かっていたからです。
しかし、現実は私が思った通りには行かないモノでした。
重罪の事件現場では、階級に関係なく警察本部刑事主導で現場が動くので、忙しい。
私の階級は巡査長(下っ端)でしたが、警察署の警部補(私より2階級上)が普通に
「これはどうしましょうか?」
等と聞いてくるんです。
そしてその現場が落ち着くと、即座に次の現場へ!
警察署警察官にこちらから雑談を持ちかける余裕がないんですね。
◎、現場では指揮系統の一人なので忙しい
◎、普段怖がられているであろう、警察署の刑事課警部補が敬語で話している
◎、現場処理が終わると即座に次の現場へ行ってしまう
この状況で警察署警察官に怖がられないようにする方が無理ですよね。
たまに、事件現場に一番早く到着した交番の警察官に色々と聞く事があります。
その日も聞く事があったので
「すみません。最初に着いた交番の方ですよね?状況を教えて貰ってもいいですか?」
と話掛けました。
すると警察学校を卒業して1年も経っていない新人だったらしく
「は、はい。え、えっと。これはこうで・・・あっ、違った。すみません。さっきのは違います。本当はこっちがこうで・・・あ、すみません。時間言ってなかったですね。時間は・・・・すみません。」
みたいな状態になってしまいました。
それを隣で見ていた新人の上司が
「いいんだよ冷静に。落ち着いて。頑張れ」
みたいに小声で励ましているという状況。
私は
[私も数ヶ月前までは警察署の警察官でした!特別でも何でもないんです!怖がらないで]
と心では思っているので、とても寂しい思いでそのやり取りを見ていました。
このように、警察署警察官時代には、
「警察本部刑事怖い!仕事できて凄い!話掛けられない!緊張する」
と思っていた自分。
本当は本部とか、警察署とか関係なく話をしたい。
しかし、いざ警察本部刑事になると、今までの本部の人達と同じ状況になってしまう。
このように、警察本部刑事はとても寂しい思いを持っているんですね。
もっとも、これは私のように若い時に警察本部へ異動となった警察官の話だと思います。
ずっと警察本部にいたり、ずっと刑事の人にとっては、もう気にならないことのようです。
でも、私は寂しかったんです。
では最後に
『「刑事ドラマみたいに仲は悪いの?」 警察本部警察官と警察署警察官はお互いをどう思っているのか?』
についてまとめて終わりにします。
警察官には2種類あり
『キャリア組』と『ノンキャリア組』
刑事ドラマで横柄な態度の警察本部刑事は
『キャリア組』
実際は警察本部刑事も
『ノンキャリア組』
警察署から見た警察本部刑事は
「怖い、能力が高すぎて自分では邪魔になる。」
等の理由から話掛ける事も出来ない上の存在。
警察本部刑事からみた警察署警察官は
「怖がらないで、普通に会話しよう!」
でも怖がられるため、とても寂しい。
いかがでしたか?
警察署も、警察本部も、どちらも経験している当時の私の心の中。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
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