パントマイムをご存じだろうか。台詞はなく、無言で体や表情を用いて行う劇である。パントマイムが評価されるゆえんは、この聴覚でなく視覚で表現することの良さだろう。今作では、その神様ともいわれる人が主人公だ。
パントマイムの神様が降臨する2021年8月27日(日本)公開『沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~』。
それでは、悲劇の中で輝く喜劇をご覧に入れよう。
時は、第二次世界大戦時、あのヒトラーの犠牲者になった、ユダヤの子供たちを救う物語だ。しかし、救うとは、ただ命を安全に保護すればいいのだろうか。当時、ユダヤ教徒を保護することは、レジスタンスといわれ、政府に抵抗する行為とみなされた。彼にとって、この行為を悔やむことは生涯ないだろう。しかし、彼は、命だけでなく、心まで救ったともいえる。それが、「神様」なるゆえんだろう。
パントマイムという、手法を用いて人を動かすことは、容易なものではない。ひとたびやり方を持ちが得れば反感を買うことになる。彼のユーモアあってこそのパントマイムの輝きといえる。
どんなに生活が苦しかろうと、そこに希望を見出せるか否かが、境になる。彼のように、人を導くようなことができる人は多くない。先生の真似事は、人に師事されることとは違う。その人にいかに寄り添えるかだろう。
私も彼のようになれるとは、思えないが人に寄り添う努力は怠りたくないものだ。
それでは、それでは。