国産ブラウザ「Smooz」にセキュリティ上の問題が発覚しました。利用者のWebサイト閲覧情報を外部送信すると指摘されました。「Smoozというブラウザでは、その利用情報がすべて開発元のアスツール社に送信されている」(「国産ブラウザアプリSmoozはあなたの閲覧情報をすべて外部送信している」reliphone 2020年12月17日)
https://reliphone.jp/post-16195/
「Smooz」開発元のアスツール株式会社は修正版をリリースしました。それでも問題は残っていると指摘されます。サービス利用データの提供とおすすめ記事をオンに設定した場合は外部送信されると指摘されました。「彼らは許可さえ取っていれば見ているページの内容を外部送信してもかまわないと考えたようです」(「続・続・国産ブラウザアプリSmoozはあなたの閲覧情報をすべて外部送信している」reliphone 2020年12月20日)
https://reliphone.jp/post-16289/
セキュリティの欠陥に加えて企業姿勢も批判されています。「20日時点ではこれらの情報が自社ブログおよびTwitterでしか告知されておらず、アプリ起動時やサイトトップページに表示されていないことも、批判の的となっている」(「スマホ用ブラウザー「Smooz」、外部への情報送信が発覚しストアでの公開を停止中」INTERNET Watch 2020年12月21日)。日本型組織は不祥事と隠蔽体質のセットになることが多いです。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1296444.html
興味深い点として「Smooz」が「国産ブラウザアプリ」と表現していることがあります。後追いのINTERNET Watch記事も「国産のスマホ用ブラウザー」と表現します。日本ではZoomやFacebookなど外国資本のサービスに対して個人情報を全部持っていかれるから利用しないという論調があります。その根っこには外国企業だから信用できないという排外主義があります。尊王攘夷の時代からメンタリティが変わっていないことになります。
しかし、外国産は危なく、国産は安全という発想は無根拠です。国産であることは高品質のブランドを意味しません。今や日本は世界第二の経済大国でも、アジア唯一の先進国でも、世界唯一の有色人種のサミット参加国でもありません。それなのに未だに昭和の感覚を持ち続ける人々も多いです。そこが日本の根本的な問題でしょう。
むしろ、新型コロナウイルス感染症対応では日本のデジタル後進国ぶりが露呈しました。個人情報の取り扱いでも海外企業よりも意識の低い日本企業はゴロゴロいるでしょう。
「Smooz」のセキュリティの欠陥の指摘は、「Smooz」利用者への注意喚起に加え、国産だから安全というものではないという教育効果があります。国産ソフトウェアのセキュリティの欠陥のニュースは、Japan As No.1という根拠のない自惚れの昭和意識に冷や水を浴びせることになるでしょう。
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